賃上げに前向きの声 「社員の生活防衛」で―物価上昇の影響懸念も・企業トップ

東京, 1月6日, /AJMEDIA/

 経団連など経済3団体の新年祝賀会が5日、東京都内で開かれた。企業トップからは、急激な物価上昇で従業員の生活が圧迫されていることを懸念し、賃上げに前向きな発言が相次いだ。出席した岸田文雄首相はインフレ率を上回る賃上げを経済界に求めており、間もなく本格化する今春闘の行方が焦点となっている。
 「(消費者に)値上げをお願いしているので、それ以上はしっかりと賃上げしていくこともわれわれの責任だ」―。ローソンの竹増貞信社長はこう述べ、物価上昇分を超える賃金の引き上げに意欲を示した。
 ANAホールディングスの芝田浩二社長は、コロナ禍で落ち込んだ業績の改善を踏まえ、「(これまでは)従業員に我慢をお願いしてきたが、財務基盤に応じて賃上げに取り組みたい」と説明。すかいらーくホールディングスの谷真会長兼社長も「社員の生活防衛の観点から(基本給を底上げする)ベースアップについて前向きに検討していく」と語った。
 出席者の中には「業績はまだコロナ前に戻りきっていない」(鉄道大手幹部)と慎重な声もあり、賃上げがどの程度広がるかは不透明な面もある。
 ただ、現在の物価上昇については、「インフレにはこの1年向き合わざるを得ない」(みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長)など、早期の収束は難しいと見る向きもある。物価高に伴う実質的な賃金減少や、消費の冷え込みに歯止めをかけるには賃上げが欠かせない。三井不動産の菰田正信社長は「この春に日本全国で賃上げがちゃんと実施されれば、年後半は景気が回復軌道に戻るのではないか」と指摘した。
 一方、昨年末に日銀が金融緩和の修正に踏み切ったことで、物価上昇を加速させていた過度な円安は一服している。三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長は、円相場について「あまり大きな変動より安定した動きがいい」と話した。

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