自衛隊明記、緊急時対応が争点 与野党、改憲の是非競う―参院選【公約比較】

東京, 7月3日, /AJMEDIA/

 今回の参院選は、憲法改正の是非も主要な争点だ。自民、公明両党と、改憲に前向きな日本維新の会、国民民主党の「改憲勢力」は、公約などで自衛隊明記や緊急事態対応を打ち出す。選挙後は、衆院解散がなければ2025年まで大型の国政選挙はない。立憲民主党などは、この4党が国会発議に必要な3分の2の議席を確保すれば、改憲論議に拍車が掛かると警戒。反対の世論喚起に全力を挙げる。
 ◇「9条の2」
 憲法9条の改正をめぐり、自民は戦争放棄を定めた1項と戦力不保持・交戦権否認を定めた2項を維持し、「9条の2」を新設して自衛隊を明記する案を示す。2017年に安倍晋三首相(当時)が「自衛隊の違憲論争に終止符を打つ」と提唱したことが背景にある。
 維新も「9条については平和主義・戦争放棄を堅持した上で、自衛隊を明確に規定する」と主張。自民と足並みをそろえる。
 公明は「9条1、2項の堅持」を掲げつつ、「別の条項で自衛隊を明記すべしとの意見がある。引き続き検討を進める」とした。首相の指揮監督権を定めた72条に自衛隊を追加する北側一雄副代表の私案が念頭にあるとみられる。その一方で「多くの国民は自衛隊を違憲とは見ていない」と記し、慎重さもにじませる。
 国民は自衛権行使の範囲などの論点を挙げ、「具体的な議論を進める」と記述した。
 これに対し、立民は自民案への反対を表明。9条の2として自衛隊を明記すれば「2項の法的拘束力が失われる」と理由を説明する。共産党は「9条改憲に反対を貫く」、社民党は「憲法を変える必要はない」と、いずれも立場を鮮明にしている。
 ◇任期延長で足並み
 新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、緊急事態対応も論点に浮上している。大規模災害時などに国会議員の任期延長を可能にする緊急事態条項の創設をめぐり、改憲勢力はいずれも前向きな姿勢を示す。
 自民はさらに、国会を通さず内閣の権限で立法措置を行う緊急政令の制度についても、議論の必要性を提起。しかし、公明は「緊急時といってもさまざまな事態があり、それぞれの危機管理法制の中で整備していくしかない」と否定的だ。
 維新は「緊急事態条項を創設し、発動には憲法裁判所の承認が必要であることを明記する」と主張。国民は「いかなる場合も立法府の機能を維持できるようにする」と盛り込んだ。
 一方、立民は「現行の制度でたいていのことは対応できる」と慎重な立場。共産、社民やれいわ新選組は反対を訴えている。
 NHK党は、改憲論議を積極的に促す方針を強調している。

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