老朽マンション、建て替え容易に 多数決要件の緩和検討―葉梨法相、区分所有法改正を諮問

東京, 9月3日, /AJMEDIA/

 葉梨康弘法相は2日の閣議後記者会見で、分譲マンションの建て替え条件を緩和するため、区分所有法の改正を12日の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると発表した。所有者の5分の4の賛同を必要とする建て替え決議の要件を引き下げることが柱。今後予想される老朽化マンションの増加に対応する狙いがある。
 国土交通省の調査によると、2021年末現在、全国の築40年超のマンション数は116万戸。20年後には425万戸まで増えると予測され、所有者の高齢化と合わせた「二つの老い」への対応が急務となっている。
 分譲マンションの建て替えに当たり、現在は所有者の5分の4の賛成が必要だ。相続などで連絡がつかなくなった区分所有者は決議の際、反対者として扱われるため、必要な賛成を得るのが困難なのが現状。一般的にマンションは都会に多いため、「都会の所有者不明土地問題」とも言われる。
 10月以降に開催される法制審部会では、建て替え決議の多数決要件を4分の3かそれ以下に引き下げる案や、耐震性不足など放置しておくと危険な場合に要件を引き下げる案などが検討される。裁判所など公的機関が認めることを条件に、所有者不明の区分所有者を意思決定から除外する案もある。
 マンションの建物と敷地を一括して売却したり、取り壊したりする際、現在は所有者全員の同意が必要だが、多数決で可能にすることも検討する。
 このほか、大規模災害で住めなくなったマンションを取り壊す際の要件を定めた被災マンション法の改正も諮問する。現状は取り壊しや敷地売却をする場合、所有者の5分の4の同意が必要だが、被災後は住民が避難生活などを余儀なくされ、早期に同意を取り付けるのが難しい。このため、要件を3分の2に引き下げる案を軸に議論が行われる見通しだ。
 また、被災で大きなダメージを受け、価値が半分以下に下がった場合、売却や取り壊しなどの決議を1年以内にする必要があるとの規定について、自治体などから「短すぎて準備が困難」との指摘があり、3年程度に延長する案も協議される。

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