緊張高まる静寂の首都 「最後の日」か「正常」か―市民の思い交錯・ウクライナ

東京, 2月24日, /AJMEDIA/

雪が時折ちらつく22日のウクライナの首都キーウ(キエフ)は、静かだった。政府は24日の侵攻開始1年に合わせたロシアの攻撃を警戒し、「予防措置」として学校の授業をオンラインで行うよう勧告。人影も少なく、緊張が高まる中、「きょうが最後の日かも」と不安の声が聞かれる一方、「正常に戻ってきた」と話す人もおり、市民の思いは交錯した。
 「キーウはゆっくりと正常と呼べるようになってきた」。旧市街の聖ミハイル黄金ドーム修道院前に展示された軍用車両の残骸を妻子と共に見ていたレンタカー会社で働くパベル・コビシュさん(37)は、この1年をこう振り返る。
 侵攻開始以降、避難せずキーウにとどまり続けた。「この国に安全な場所はない。他のどこかに行くより、(防衛力が)強力で大都市のキーウにいる方が助かる可能性は高い」と語る。長引く侵攻については「夏には終わると期待している。(ウクライナの勝利に)疑問の余地はない」と力を込めた。
 観光を学ぶ大学1年生のルスラナ・ボンダルさん(18)は「父親に起こされ、(家族で)車で逃げ始めたが、すぐ家に引き返した」と侵攻開始直後の混乱ぶりを振り返る。自宅の地下室で10日間を過ごした後、西部の都市に逃れ、状況が落ち着いた後にキーウに戻った。「大学に入学し、日常生活が戻ったかのようだが、きょうが最後の日かもしれないという気もしている」
 不安が残る中、安全とより良い生活を求めてウクライナを脱出する動きは絶えない。「欧州で暮らすチャンスだという人もいるけれど、私はこの国が好きでこの国で暮らしたい」というボンダルさんの将来の夢は、客室乗務員だ。
 ボンダルさんと共に学ぶヤナ・コルズヘンコさん(18)は「ウクライナは戦争後、人気の観光地になると思う」と話す。「その時が来るのを待っている」と笑うと、大学の課題をこなすのに必要な調査のため、ボンダルさんと一緒に世界遺産の聖ソフィア大聖堂に向かった。

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