立・維、少子化巡り攻勢 「低姿勢」岸田首相、分断狙う―予算委

東京, 2月1日, /AJMEDIA/

 衆院予算委員会の2023年度予算案に関する基本的質疑2日目の31日、共闘を進める立憲民主党と日本維新の会は少子化対策の拡充や「防衛増税」の撤回を求めて攻勢を強めた。「低姿勢」に徹する岸田文雄首相の答弁には、両党の間にくさびを打ち込もうとのしたたかさもにじんだ。
 「反省すべきは反省しなければならない」。首相は31日の予算委で、自民党が旧民主党政権の看板政策「子ども手当」を野党時代に攻撃した非を認めざるを得なかった。当時、所得制限なしの同手当廃止を主導したにもかかわらず、今になって「異次元の少子化対策」に絡んで児童手当の所得制限撤廃論が政権内で勢いを増しているためだ。
 厚生労働相として子ども手当創設に関わった立民の長妻昭政調会長は、自民党議員が「下らん選択をしたばか者どもを絶対に許さない」と非難し、同党が「愚か者めが」とプリントしたTシャツを発売した経緯に言及。「自民党を信じたいが、反省と総括がなければ信じられない」と迫り、首相から異例の「反省」を引き出した。
 立民がここにきて勢いづき始めたのは、党の源流である旧民主党の主張を自民党が認めつつあるとの自信からだ。維新と歩調を合わせれば、政府・与党から譲歩を勝ち取れるとの計算も働く。
 長妻氏は少子化対策の一環として、高校生までの児童手当拡大や新婚夫婦への住宅支援を矢継ぎ早に要求。この後、質問に立った維新の岩谷良平氏は「所得制限撤廃だけでは全く異次元とは言えない」として、0歳から大学院修了までの教育無償化を提唱した。首相は「思い切って進める」などと答えるしかなかった。
 両党は防衛費大幅増に伴う増税反対でも足並みをそろえ、「撤回してほしい」などと主張。首相は「(増税の)スタートの年には柔軟性を持たせる」と理解を求めた。
 もっとも、立民と維新は原子力政策や憲法改正に関する見解に大きな隔たりがある。31日の予算委では「(原発を含む)あらゆるエネルギー源を活用する」と語る首相に、維新の小野泰輔氏が「頑張ってほしい」と呼び掛け、「原発ゼロ社会」を掲げる立民との距離を浮き彫りにした。
 自民党は今国会で、原子力政策や改憲、安全保障政策での協力で維新と合意。時折、維新への「リップサービス」を交える首相の答弁には、立民と維新を離反させようとの思惑が透ける。
 維新の藤田文武幹事長が改憲への工程表提示を求めたのに対し、首相は「国会でスケジュール感を共有しながら進める前向きな取り組みを期待したい」と表明。調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開要求には「議論に貢献したい」と応じた。

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