物価高対策、参院選争点に 政府・与党、「岸田インフレ論」警戒

東京, 6月9日, /AJMEDIA/

 原油価格や物価がウクライナ情勢や円安の影響で高騰を続ける中、夏の参院選では物価高対策が大きな争点となりそうだ。政府・与党は、欧米に比べて日本は物価上昇を抑制できており、対策が奏功していると主張。一方、立憲民主党は政府・与党の対策について、生活者目線に欠けており、「岸田インフレ」だと批判を強めている。
 「総合緊急対策に基づき、原油高・物価高騰に迅速かつきめ細かく対応する。国民生活を守り抜く」。岸田文雄首相は8日の政府・与党連絡会議で、2022年度予算や補正予算に盛り込んだ対策を着実に実行すると強調した。
 首相が物価高対策を改めてアピールしたのは参院選への危機感からだ。立民はここにきて「岸田インフレ、値上げの夏、未曽有の物価高騰」(泉健太代表)と政権批判を強めている。報道各社の内閣支持率は高い水準で推移しているが、物価は国民の懐に直結するだけに、自民党関係者は「風向きはすぐに変わる」と警戒感を隠さない。
 政府・与党は昨年11月の経済対策(事業規模約79兆円)と4月の総合緊急対策(同約13兆円)で、当面の対策は手当て済みと主張。物価高の要因は、円安よりウクライナ情勢の方が大きいとして、「岸田インフレではなくプーチン(ロシア大統領)インフレだ」(首相周辺)と反論する。
 自民党の茂木敏充幹事長は8日、日本で2%超にとどまる消費者物価の上昇率が欧州で8%を超えたことを念頭に「日本の物価上昇は抑えられている」と記者団に力説。公明党の石井啓一幹事長も「的確に対策を講じている」と語った。
 ただ、政府・与党は世論の動向に神経をとがらせている。日銀の黒田東彦総裁が「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言すると、官邸からは「まずい」との声が漏れた。黒田総裁は発言を撤回。自民党は参院選公約を9日に決定し、賃上げ誘導策などを打ち出す見通しだ。
 これに対し、立民は参院選を前に、流れを変えようと懸命だ。8日には「物価高への無策ぶり」(泉氏)を理由に内閣不信任決議案を衆院に提出。泉氏は島根県雲南市の病院を視察し、「病院の経営も物価高騰で圧迫されている。岸田政権に異議を唱える」と記者団に語った。
 政府の対策が不十分との立場では、ほかの野党も立民と足並みをそろえる。共産党は「物価高騰に無為無策」と政府を批判。日本維新の会も内閣不信任決議案には反対する方針だが、「賃金を上げるために構造改革が必要だ」とし、国民民主党も現金10万円の一律給付などを訴えている。

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