海自、02年に「将官級戦略会議」打診 中国指導部が拒否―OB交流、コロナで中断

東京, 9月26日, /AJMEDIA/

 海上自衛隊が2002年、中国海軍との意思疎通を図るため、将官級による戦略的な意見交換を行う会議の設置を打診していたことが分かった。その後の中国海軍の増強を想定して、対話ルートを確保することが狙いだったが、中国指導部が拒否し、実現しなかった。当時、海上幕僚監部防衛部長だった香田洋二元自衛艦隊司令官が25日までに明らかにした。
 香田氏は02年、西太平洋の海軍当局者らによる会議に出席するため来日した中国海軍少将に「将官級が定期的に情勢分析や戦略的な意見交換をする会議」の設置を提案した。少将は前向きな反応だったものの、後日、文書で「国の上層部」の判断で同意できないと回答した。拒否した理由は不明だが、当時、中国の最高指導者が江沢民氏から胡錦濤氏に代わる直前だったことも影響したもようだ。
 日中防衛関係者による非公式な対話の枠組みとしては、1977年に始まった「中国政経懇談会(中政懇)」がある。会長を務める森勉・元防衛省陸上幕僚長によると、中政懇は中国の実力者、トウ小平の呼び掛けで発足。毎年、7人前後の自衛隊将官OBが訪中し、中国軍の現役少将らと率直な意見交換を行ってきた。中政懇メンバーがトウに対して、79年の中国によるベトナム侵攻を批判したこともあるという。
 中政懇に防衛省や自衛隊は関与しておらず、旅費や通訳を雇う資金は参加者が出し合っている。森氏は「細くても常にパイプが必要だと考え、われわれの志で続けてきた」と強調する。ただ、新型コロナウイルス感染が拡大した後、中政懇の訪中は行われていない。
 公式の会談や交流、行事は政治状況の影響を受けて途絶えがちだ。また、笹川平和財団の主導で01年に自衛隊と中国軍の現役佐官級による相互往来が開始。12年に沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題を受けて中断した後、18年に再開された。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts