求められる地政学リスク対応 「法律先取りを」―LINE問題最終報告

東京, 10月19日, /AJMEDIA/

今年3月に発覚した通信アプリ大手「LINE」の情報管理問題に関する最終報告書が18日、公表された。国内約8900万人が利用する「社会インフラ」を運営するLINEに対し、法令順守にとどまらない高いレベルのデータ管理を要求。経済安全保障を左右する地政学リスクに対応できる体制の整備を求めた。

 報告書は、LINE経営陣が中国政府に情報が漏えいするリスクの検討や、その対応を怠ったと指摘した。米中対立などで複雑化する地政学リスクに対応するため、LINE親会社のZホールディングス(HD)が情報の収集や分析、評価を一元的に行うよう要請。さらに、「法律では定められていないことを先取りして対応することが求められる」と強調し、外国の法整備状況などについて調査する体制を強化するよう訴えた。

 今月発足した岸田文雄内閣は、経済安全保障担当相を新設。自民・公明両党が衆院選で勝利した場合、情報・技術管理への取り組みが重点分野の一つになる可能性がある。ZHDの川辺健太郎社長らは15日、自民党本部に甘利明幹事長を訪ね、10分程度会談した。川辺氏は会談後、時事通信の取材に対し、データ管理の在り方が話題になったと明らかにした。

 最終報告書をまとめた外部有識者委員会の宍戸常寿座長(東大大学院教授)は「変化する国際情勢やルールに適時対応し、常にガバナンス(統治)体制を向上させ、それを利用者に説明する社会的責任が重くなっている」とIT企業の活動に警鐘を鳴らした。

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