日英部隊犯罪、派遣国に裁判権 円滑化協定で両政府合意

東京, 5月18日, /AJMEDIA/

 自衛隊と英軍の相手国での法的地位を定めた円滑化協定(RAA)締結交渉で、日英両政府が派遣国側の隊員・軍人による「公務中」の犯罪への対応として、第1次裁判権を派遣国に与えることで合意したことが17日分かった。日本に滞在する英軍人が公務中に重罪を犯しても英国の法律が適用され、死刑は免れることになる。
 日本政府は今年1月に署名したオーストラリアとの円滑化協定にも同じ合意を盛り込み、日本の死刑制度に対する豪州の懸念を払拭(ふっしょく)した。豪州と同様に死刑のない英国との交渉でこれを踏襲した形だ。
 RAAは在日米軍の日米地位協定に当たるもので、2国間で部隊を派遣し合う際の出入国手続き、裁判、税金の扱いなどを定める。締結すれば共同の訓練や救助活動が円滑に実施できるようになり、安全保障協力の強化につながる。
 日英両政府は2021年9月に交渉開始を発表し、交渉を重ねてきた。その結果、派遣された部隊の構成員が接受国で罪を犯した場合、(1)派遣国のみに被害が及ぶ(2)公務中―のいずれかなら、派遣国が第1次裁判権を行使することで合意した。それ以外のケースは接受国が第1次裁判権を有する。
 こうした交渉の積み上げを受け、岸田文雄首相は今月5日、ジョンソン英首相とロンドンで会談し、RAA交渉の「大枠合意」を宣言した。日豪協定は交渉開始から署名まで約7年半近くを要したが、日英両政府は日豪協定の踏襲により交渉の加速化を図った。両政府は早期署名に向けて詰めの作業を急ぐ方針だ。

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