救済法案、大詰めの攻防 6日に審議入り、与野党なお隔たり―国会最終盤

東京, 12月5日, /AJMEDIA/

会期末が10日に迫った週明けの国会は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題の被害者救済法案を巡る与野党の攻防が大詰めを迎える。法案は6日に審議入りする予定で、政府・与党は会期内成立を急ぐ。一方、立憲民主党は法案の抜本修正を求めており、会期延長も視野に入れる。見直しが必要と主張する日本維新の会の対応も絡み、ぎりぎりの調整が続く見通しだ。
 政府・与党は法案を7日に衆院通過させ、9日に成立させる日程を描く。与野党調整の焦点は、宗教団体など法人側が寄付を勧誘する際の規定の在り方だ。
 救済法案は法人側に対し配慮義務を設けた。自由な意思を抑圧し、適切な判断が困難な状態に陥らせない▽個人や家族の生活維持を困難にしない▽勧誘する法人名などを明らかにし、寄付金の使途を誤認させない―の3点だ。違反しても罰則などの対象にならないが、政府側は「民法上の不法行為の認定や賠償請求がしやすくなる」と一定の抑止効果を強調する。
 これに対し野党側は、マインドコントロール下での寄付禁止を求める。3点に関しても配慮義務ではなく、禁止行為にすべきだとして対立する。
 立民の長妻昭政調会長は4日のNHK番組で、「進んで困惑しないで行った献金は対象外だ。ほとんど取り締まれない」と批判。同時に「配慮義務を禁止規定にすると効果が出る。岸田文雄首相に決断してほしい」と訴えた。日本維新の会の音喜多駿政調会長は「政府案は実効性に不安がある。行政処分の対象にするような見直しを提案したい」と語った。
 野党側は、霊感で不安をあおり、寄付が必要不可欠として個人を困惑させる行為などを禁止した条文に関しても、「不可欠」とするのは要件が厳しいとの立場で、文言の削除を求めている。
 ただ、政府・与党は法案の大幅な変更は想定していない。自民党の新藤義孝政調会長代行は番組で、野党の主張に対し「国会で議論し、政府が丁寧に説明する」と述べるにとどめた。政府関係者は修正要求について「法律論的に無理だ。内閣法制局を通らない」と否定的だ。
 国民民主党は法案に理解を示しており、政府・与党は、野党ではほかに維新を取り込み採決に踏み切ることも想定する。参院審議の場となる消費者問題特別委員会委員長は維新議員が務めており、審議促進へ同党の協力を引き出したい考えだ。
 一方、野党第1党の立民との間に対立を残せば、与野党合意が不十分との受け止めが広がる可能性もある。政府・与党は残り会期をにらみ、難しい判断を迫られそうだ。

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