政府、ODA拡充に本腰 台頭中国を念頭、外交強化

東京, 6月20日, /AJMEDIA/

 政府開発援助(ODA)予算の増額に向け、政府が本腰を入れ始めた。岸田文雄首相は先のアジア安全保障会議でODA拡充に触れ、インド太平洋地域での支援強化に言及。これを契機に2023年度予算案での実現を目指す。中国の海洋進出など日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、防衛費増額で防衛力を整備するとともに、ODAなどを通じた外交を強化するのが狙いだ。
 首相はシンガポールで10日に開かれたアジア安保会議で「ODAを拡充するなど外交的取り組みを強化する」と表明。巡視船といった海上安保設備の供与など今後3年間で約20億ドルの支援をインド太平洋諸国に行うことを打ち出した。
 2022年度のODA予算は約5600億円で、ピークだった1997年度の約1兆1700億円の約半分にとどまる。一方、中国は東南アジアや太平洋島しょ国で大規模な「物量作戦」を展開し、軍事面だけでなく経済面でも影響力を強めている。
 このため、7日にまとめた経済財政運営の基本指針「骨太の方針」はODA拡充を明記。政府は対外援助の基本方針を定めた「開発協力大綱」の改定も検討する。
 首相が防衛力強化に取り組む方針を掲げる中、外務省幹部は「防衛と外交は車の両輪だ」と指摘する。米国やオーストラリアなどとともに途上国への支援を行い、「頼れるのは中国だけではないという選択肢を示す」(別の同省幹部)ことを目指す。林芳正外相は17日の記者会見で「ODAは最も重要な外交ツールだ。拡充に向け全力で取り組みたい」と語った。
 ただ、防衛費増額に加え、物価高に伴う経済対策や新型コロナウイルス対策なども求められており、厳しい財政状況の中でODA予算を増額できるかは不透明だ。政府関係者は「防衛費のように増えるかというと難しいかもしれない」と語った。

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