岸田首相、G7結束に腐心 対中国で危機感共有―サミット

東京, 6月29日, /AJMEDIA/

岸田文雄首相はドイツ・エルマウで28日閉幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、足並みの乱れも見え始めたG7各国の結束維持に腐心した。対ロシア制裁や食料危機への対応で「G7が声を一つにすべきだ」と発信。東アジアで覇権主義的動きを強める中国をけん制する上でも、G7が一枚岩となっていることが重要だからだ。
 「ウクライナ情勢から誤った教訓を導き出す国が出ないようにしなければならない」。首相は初日の討議で、厳しい対ロ制裁の継続を主張した。ロシア軍による黒海沿岸の港湾封鎖がもたらした食料危機への対応でも「各国の国民生活を守るため、G7が結束しなければならない」と説いた。
 首相が懸念したのは、対ロ制裁を主導してきた米国と欧州の間の温度差だ。ロシア産エネルギーに依存してきた欧州では物価高が国民生活を直撃。「制裁疲れ」からウクライナに譲歩を求める世論も目立ち始めている。ただ、ウクライナ危機での譲歩は「力による一方的な現状変更の試み」を容認することにつながりかねない。
 サミットで首相は、中国を名指しして東アジアでの懸念を首脳らに伝えた。いつもと違ったのは、沖縄県・尖閣諸島沖の中国公船による領海侵入や、東シナ海・日中中間線付近の中国によるガス田開発という具体例を挙げた点だ。危機認識の共有を図ったものとみられる。
 首相は閉幕後の記者会見で、日本が来年の議長国を務めるG7広島サミットの日程を、5月19~21日と発表した。今回のサミットでは早速、サプライチェーン(供給網)や経済的威圧など中国を念頭に置いた経済安全保障を議題として取り上げる考えを表明。「G7が中核となって明確な立場を示すべきだ」と意欲を示した。

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