岸田首相、北京五輪対応に苦慮 米外交ボイコット、「折衷案」も

東京, 12月08日, /AJMEDIA/

来年2月の北京冬季五輪をめぐる米国の「外交ボイコット」表明を受け、日本政府は対応に苦慮している。岸田文雄首相は7日、記者団に「国益の観点から、自ら判断していきたい」と状況を見極める考えを示した。ただ、新疆ウイグル自治区の人権状況などに欧米の視線は厳しく、首相は難しい判断を迫られそうだ。
 首相は7日、自民党の保守系議員連盟「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」の青山繁晴参院議員らと面会。政府関係者を派遣しない「外交ボイコット」を迫る議連メンバーに対し、「米国や欧州がやったからでなく、日本の主体的な判断として決めたい」と強調した。
 青山氏によると、首相は「中国は『東京五輪は中国が支持したから実現できた』と言ってきているが、事実ではない」とも語り、水面下で中国側と対応を協議していることも示唆した。
 中国は今夏の東京五輪に、閣僚級の苟仲文・国家体育総局長を派遣した。自民党内では、北京五輪の開会式に「閣僚や政治家を送るのは避けるべきだ」との意見が強まっており、山下泰裕日本オリンピック委員会(JOC)会長や室伏広治スポーツ庁長官を送る「折衷案」も取り沙汰されている。
 政府は「日本は米中両方と付き合っていかなければならない」(関係者)として、慎重に対応を検討している。来年の日中国交正常化50周年を控え、両国間で経済や国民の交流を後押ししようとしており、決定的な対立に発展するのは避けたいのが本音だ。
 松野博一官房長官は7日の記者会見で「適切な時期に判断する」と繰り返したが、「外交ボイコット」は英国やオーストラリアでも浮上。首相周辺は「各国が足並みをそろえてやろうという時に、日本だけ別の対応というわけにいかなくなる」と述べ、同調圧力が強まることを懸念している。

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