寺田総務相、自民に早期辞任論 補正審議への影響懸念

東京, 11月18日, /AJMEDIA/

 自民党内で寺田稔総務相の早期辞任論が浮上した。岸田文雄首相が擁護し、党内にもその判断を容認する声があったが、2022年度第2次補正予算案の審議入りを来週に控え、このまま続投させれば国会日程や政権運営に影響しかねないとの空気が強まった。首相は東南アジア歴訪から帰国する19日以降、判断を迫られそうだ。
 自民党関係者は17日、寺田氏を念頭に「問題のある閣僚は代えればいい」と語った。閣僚経験者は「辞めさせた方が寺田氏のためだ」と明言。党幹部の一人は「首相は帰国したら決断すべきだ」と語った。
 党内には葉梨康弘前法相の辞任後、「辞任ドミノを止めなければ政権がぐらつきかねない」(関係者)と懸念する声が出ていた。だが、これまで取り沙汰されてきた寺田氏の「政治とカネ」を巡る疑惑はさらに拡大。国会審議への影響を危惧する声が広がった。
 首相はタイ・バンコクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席した後、19日に一連の東南アジア歴訪を終えて帰国する。21日には2次補正が審議入りする予定で、首相の判断が焦点になりつつある。
 山際大志郎前経済再生担当相と葉梨氏の辞任の際、首相は後手に回ったと批判を浴びた。寺田氏については東南アジア出発前の更迭を求める声もあったが首相は応じなかった。葉梨氏と寺田氏はともに岸田派で、党内には「首相は身内に甘過ぎる」(閣僚経験者)との不満も渦巻く。
 週刊文春は17日、寺田氏が昨年の衆院選で、公職選挙法が禁じる運動員買収を行っていた疑いがあると新たに報じた。衆院総務委員会に出席した寺田氏は「確認する」と調査を約束した。立憲民主党の奥野総一郎氏は寺田氏を巡る疑惑の多さを「疑惑の見本市」と表現し、辞任を迫った。
 立民の安住淳国対委員長は党会合で「このままなら予算委員会を含めて徹底的にやる」と述べ、週明け以降の予算委などで政権と厳しく対峙(たいじ)する考えを示した。
 寺田氏以外に秋葉賢也復興相も「政治とカネ」の疑惑を抱える。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を踏まえた被害者救済新法などの課題が山積する中、12月10日の会期末を控えて火種はなおくすぶっている。

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