安倍氏後継、決め切れず 山口4区補選、自民苦慮

東京, 11月7日, /AJMEDIA/

 自民党が安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区補欠選挙への対応を決め切れないでいる。安倍家を中心に「後継候補」を探ったが適任者が見当たらない。隣接する3区の林芳正外相も4区には深い縁があるが補選は静観の構え。次期衆院選から山口の定数が「10増10減」で4から3に減ることも調整が進まない一因となっている。
 補選は公職選挙法の規定に基づけば10月に行われるはずだったが、昨年の衆院選をめぐる「1票の格差」訴訟が続いているため、これも同法の規定で先送りされた。実施は早くて来年4月だ。
 山口の定数は現在4。1~3区にはそれぞれ自民党現職がいる。補選の対象である4区は下関市を含む県最西部で、東側の3区は林氏、2区は安倍氏の弟、岸信夫氏の選出選挙区となっている。
 7月の安倍氏死去から程なく、妻昭恵さんは4区補選に自身が立候補しない考えを安倍派幹部に伝達。この後、安倍氏の実兄や信夫氏の子息が候補として浮上したが、本人が固辞するなどして本格調整に至っていない。「安倍氏後継」が定まらない状況が続く。
 一方、林氏の父、義郎氏はもともと下関を地盤とし、中選挙区制時代に安倍氏の父・晋太郎氏としのぎを削った。「安倍家」「林家」の対立構図が下関では今なお残る。
 ただ、林氏は今回の補選に色気を見せない。参院議員を辞職して昨年の衆院選に3区で出馬したばかりのためだ。ここで選挙区を後にすれば有権者の反発を買いかねないとの懸念がある。
 林陣営が機会をうかがうのは「10増10減」後の新3区。同区は今の4区と、3区の一部を含む。「いずれ下関に林の時代がやって来る」(下関市議)と陣営内には今後の選挙区調整を「勝負どころ」とにらむ空気も漂う。
 補選で当選しても3人の現職との新たな選挙区調整で不利な立場に立たされる可能性もあり、候補者探しは盛り上がらない。衆目の一致する「安倍氏後継」が見当たらない中、「ワンポイントリリーフ」として現職参院議員の名前も取り沙汰されるが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点もうわさされる。
 自民党の森山裕選対委員長は6日、鹿児島市内で開かれた党県連会合であいさつ。補選には直接触れなかったが、「『10減』はえらい話だ。現職の衆院議員がいると何らかの処理をしなければならない」と述べ、山口を含む各県での候補者調整の難しさに言及した。
 ◇世耕氏くら替えは?
 山口4区補選と同時に行われる和歌山1区補選も候補者選びが難航しそうだ。補選は国民民主党現職が知事選出馬のため辞職したことに伴う。
 定数3の和歌山は次期衆院選以降、和歌山市中心の新1区と南部の市町村を束ねた新2区に再編される。新2区の区域で二階俊博元幹事長(現3区)が強固な地盤を築く中、衆院へのくら替えを模索する世耕弘成参院幹事長の1区補選での動向に注目が集まる。党県連関係者によると、補選には昨年の衆院選で落選した門博文元衆院議員が出馬に意欲を示しているという。

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