子ども財源、岸田政権また難題 増税論浮上、世論の反発危惧

東京, 1月7日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が表明した「異次元の少子化対策」を巡り、財源をどう確保するかが政権の難題になってきた。念頭にある児童手当の拡充などに向け、国民負担増は不可欠との見方が浮上。ただでさえ防衛力強化に伴う増税への反対論が根強い中、世論のさらなる逆風を危惧する声も漏れ始めた。
 首相は今年に入り、子ども政策を政権の中心課題に位置付けるようになった。4日の年頭記者会見で、「静かな有事」と称される少子化の進行に対する危機感を表明。経済財政運営の基本指針「骨太の方針」を決定する6月ごろまでに、子ども予算の倍増に向けた大枠を提示する考えを示した。
 しかし、焦点となる児童手当などの拡充には、恒久的な財源の議論が欠かせない。今後、児童1人当たりの支給額引き上げや、第2子以降の加算、所得制限の緩和などが論点となる見通しで、少なくとも数千億円規模に上る可能性もある。
 このため、自民党の甘利明前幹事長は5日のBS番組で「消費税も含めて地に足を着けた議論をしなければならない」と述べ、消費税率の引き上げに言及した。
 一方、松野博一官房長官は6日の記者会見で「(消費税は)当面触れることは考えていない」と述べ、沈静化を図った。新たな子ども政策の具体像が見えないまま、増税のイメージが先行するのは避けたいのが本音だ。
 子ども政策を巡っては、東京都が都内の0~18歳を対象に1人当たり月5000円程度の給付を検討。しかし、政権幹部は「都とは連携していない」と明かす。支援の適正な規模や、国と地方の連携など、政府内の議論が熟しているとは言い難い。
 政策課題を多く抱えながら、優先順位を決めないことへの懸念も漏れる。昨年末に首相が打ち出した防衛力強化のための増税は、開始時期の決定を今年に持ち越した。子ども政策の財源論を並行して議論することについて、公明党幹部は「増税しか考えない内閣のように見られる」と指摘した。
 首相は6日、自民党の萩生田光一政調会長と首相官邸で会談。子ども政策について、防衛力強化や脱炭素などの取り組みとバランスを取りながら議論を進める方針で一致した。

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