南西シフト、進むミサイル配備 「反撃能力」拠点化も―対中最前線、地元に不安

東京, 4月2日, /AJMEDIA/

防衛省が中国の軍事的活動を警戒し、南西諸島への自衛隊ミサイル部隊の配備を進めている。将来的には敵の発射基地などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)で活用する長射程ミサイルが配備される可能性が高い。その場合、防衛の「最前線」として、緊張がさらに高まるとの指摘もある。
3月に陸上自衛隊の駐屯地を新設した石垣島(沖縄県石垣市)には敵の艦艇を攻撃する「12式地対艦誘導弾」などのミサイル部隊を配備。既に奄美大島(鹿児島県奄美市など)、宮古島(沖縄県宮古島市)にもミサイル部隊を置いている。
 2023年度中に沖縄本島の勝連分屯地(沖縄県うるま市)にも配備。沿岸監視部隊が所在する与那国島(同県与那国町)も候補地だ。日本最西端の同島は台湾からわずか約110キロに位置する。
 防衛省が南西地域の防衛に取り組むのは、中国にとってここが太平洋への出入り口になっているからだ。中国軍の艦艇や航空機による活動は常態化。空母「遼寧」は昨年末から今年1月にかけても南西諸島を抜け、沖縄南方の太平洋上で艦載機の発着艦を繰り返した。
 中国をけん制するため、政府は安全保障関連3文書に反撃能力保有を明記。これに伴い、12式地対艦誘導弾の射程を1000キロ超に伸ばして26年度から配備することを決めている。
 長射程ミサイルについて浜田靖一防衛相は3月31日の記者会見で、「具体的な配備先は決定していない」と述べるにとどめた。ただ、防衛省関係者は「中国に近い南西諸島は有力な選択肢」と断言。陸自沖縄訓練場(沖縄県沖縄市)に新設する弾薬庫に保管することが想定されている。
 浜田氏は2日、石垣駐屯地の開設式典に出席。南西諸島への部隊配備の必要性を訴える。
 こうした動きに対し、石垣市議会は昨年12月、長射程ミサイルの石垣島配備について「到底容認できない」とする意見書を採択。「有事の際には真っ先に狙われる」との住民の不安は沖縄県内各地に広がる。

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