共生社会、脱炭素レガシーに 恒久施設の赤字、課題も―東京五輪開幕1年

東京, 7月24日, /AJMEDIA/

 東京五輪の開幕から23日で1年となった。新型コロナウイルスの緊急事態宣言下で行われた大会について、小池百合子都知事は「厳しい状況で開けただけでも非常に重要」と評価。共生社会の実現や脱炭素化などをレガシー(遺産)として発展させる考えだ。一方で大会では巨額の開催経費が批判を浴びたほか、赤字が見込まれる施設の活用方法など課題も残る。
 都は2月、大会の成果を踏まえ、総合計画「『未来の東京』戦略」を改訂。共生社会など「無形のレガシー」を重視する。大会で約9万人が活躍し、高い評価を得たボランティアもその一つで、活動の募集や情報交換ができるサイト「ボランティアレガシーネットワーク」には、昨秋以降約9000人が登録。今年6月には応援セミナーを開くなど裾野の拡大を目指す。
 ハード面では、大会会場周辺の駅のホームドアや電車・バスの車椅子スペース設置などバリアフリーの進展をアピール。都幹部は「共生社会をつくっていこうという意識が、人々の間でごく自然になった」と強調する。
 聖火台の燃料に水素を初めて使い、燃料電池自動車(FCV)475台を活用するなど大会は脱炭素化も印象付けた。都は2050年の温室効果ガス排出ゼロに向け、現在23カ所ある都内の水素ステーションを25年度に倍以上に増やす目標を立てる。
 一方、大会の開催経費は組織委員会がまとめた分だけでも1兆4200億円に及び、招致段階で示された7300億円の倍近くに増えた。都が整備した恒久競技施設6カ所のうち「東京アクアティクスセンター」「海の森水上競技場」など5カ所で年間計11億円の赤字が見込まれる。
 小池氏は「収益とは別の世界、パブリック(公的)な施設」とも述べ、赤字の容認も示唆。都は国際大会の誘致を目指しつつ「使いやすい料金にして多くの人に利用してほしい」(担当者)考えで、市民向けイベントなども計画し、来場者増を目指す。しかし赤字額の試算はコロナ禍前のもので、感染拡大による利用減でさらに膨らむ恐れもある。

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