公明、世代交代進まず 若手抜てきなし、退潮不安の声

東京, 9月26日, /AJMEDIA/

 公明党の山口那津男代表の任期が異例の8期目に突入した。人事では石井啓一幹事長ら多くの幹部を再任。若手の抜てきはなく、世代交代は進まなかった。支持母体の創価学会の意向を踏まえ、当面の懸案への対応を優先した形だが、近年の退潮傾向に歯止めをかけられるか、不安の声が早くも出ている。
 「次世代を担う議員と共に闘う中で、これまで培った経験をしっかり伝え、後進の育成に全力を注ぐ決意だ」。山口氏は25日の党大会でのあいさつでこう力説した。
 党内では当初、「石井代表」就任が既定路線とみられていた。山口氏の在任期間は草創期から党を20年近く率いた竹入義勝氏に次ぐ13年超。1998年の再結党後では最長だ。年齢も70歳と内規の定年(69歳)を超えており、山口氏も交代に向けて早くから布石を打っていた。
 潮目が変わったのは7月の参院選がきっかけだった。比例代表の得票が618万票と目標の800万票を大きく割り込み、現職1人が落選。最重視する来年の統一地方選に向け、創価学会を中心に「石井氏では発信力不足」(幹部)などと代表交代を不安視する声が強まった。
 山口氏がセクハラを隠蔽(いんぺい)したとの週刊誌報道を受け、「退任すれば報道を認めたと受け止められる」(同)との懸念も出た。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題も8選の流れを強めたようだ。山口氏は党大会で「報道では大変心配をかけている」と陳謝。「旧統一教会問題は宗教と政治の問題ではない」と強調するのも忘れなかった。
 危機感は新執行部の顔ぶれにもにじんだ。石井氏や北側一雄中央幹事会長に加え、若手の起用が取り沙汰された国対委員長も佐藤茂樹氏が再任。山口氏は党大会後の記者会見で「党の骨格をしっかり維持し、統一地方選の準備を重視した」と説明した。
 高木陽介選対委員長を政調会長に横滑りさせ、後任に西田実仁参院議員会長を起用した人事も守りの印象が強い。与党内では今後、国家安全保障戦略改定や衆院小選挙区の「10増10減」をめぐる調整が本格化する。山口氏としては調整型とされる高木氏らに自民党との交渉を委ねた形だ。
 もっとも、「安定重視」の布陣でも当面の難題を乗り切れるかは見通せない。党の屋台骨を担ってきたベテラン議員が政界から次々に引退し、自民党とのパイプも細っている。党関係者は「代表を13年間もやっている山口氏ですら自民党との人脈は心もとない」と嘆く。
 「ポスト山口」の最右翼と今なお目される石井氏は64歳。2年後に代表に就任しても定年が目前に迫る。重鎮の一人は「人事を回さなければ組織は活力を失う。党が衰えていく」とつぶやいた。

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