児童手当の所得制限、焦点に 少子化対策、与野党から撤廃論

東京, 1月27日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が打ち出した「異次元の少子化対策」を巡り、児童手当の所得制限を撤廃するかどうかが焦点に浮上した。一律支給を「バラマキ」と非難してきた自民党の幹部が国会質疑で賛同したためだ。立憲民主党など野党は既に撤廃を求めており、首相が3月末にまとめる少子化対策のたたき台にどう反映させるかに注目が集まる。
 自民党の茂木敏充幹事長は25日の衆院本会議で「児童手当は『すべての子どもの育ちを支える』との観点から、所得制限を撤廃するべきだ」と提起した。この後、茂木氏は従来の党方針を転換したことについて「必要な政策は常に見直さなければいけない」と記者団に語った。
 これに対し、首相は25、26両日の各党代表質問では「必要とされる内容を具体化したい」などと述べるにとどめた。
 所得制限のない「子ども手当」は2009年発足の旧民主党政権が導入を目指したが財源確保が難航し、目標の半額となる月1万3000円でスタート。旧民主は10年参院選に敗れ、野党だった自民、公明両党との協議の末、所得制限復活を受け入れた経緯がある。
 現行制度は、0歳児から中学生まで原則1人当たり月1万~1万5000円が支給されている。所得制限を超えた世帯は原則月5000円の特例給付が支給され、さらに一定以上の高額所得者には支給されない。
 「茂木発言」を与野党は歓迎している。日本維新の会の馬場伸幸代表は26日の記者会見で「方向性として合っている」と賛同。国民民主党の玉木雄一郎代表も「素直に評価したい」と述べた。
 旧民主党政権で厚生労働相を務めた立民の長妻昭政調会長は会見で「いい変節だ」と皮肉交じりに評価しつつ、「過去の反省と総括をしていただきたい」とクギを刺すことも忘れなかった。
 公明党の石井啓一幹事長も記者団に「望ましい」と語った。
 ただ、所得制限を撤廃すれば、当然新たな予算が必要となることから、自民党内には消極的な声もある。同党幹部は「みんな無責任なことを言う」と財源に立ち入らない議論を批判した。

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