俳優ら実演家、強まる懸念 「数時間で全てスキャン」―専門家は法整備指摘・生成AI

東京, 5月27日, /AJMEDIA/

「数時間で全ての音域、声色をスキャンされる」。対話型人工知能(AI)「チャットGPT」に代表される生成AIの急速な進展に対し、声優や俳優ら実演家の懸念が強まっている。日本芸能従事者協会(森崎めぐみ代表理事)は実演家らの権利保護を国に要望。専門家も法整備の必要性を指摘している。
AI開発、遅れに危機感 全産業に影響、議論加速―政府

 同協会は会員にヒアリングを実施。ゲーム開発向けなどのため「動作」をデータ化するモーションキャプチャーに応じているというスタントマンは「『危険だから』とAIばかりになれば、技術も継承できず、死活問題になる」と回答した。舞踊家からは「映像上の舞踊をコピーされたらどうにでもなるし、振付師の存在価値もなくなる」と不安の声が上がったという。
 森崎代表は「AIに表現の技術を奪われると、多くの実演家らが仕事を失いかねない」と訴えた。
 芸能従事者の契約や権利に詳しい佐藤大和弁護士は、実演家らの権利保護のため(1)顔や姿を含む肖像や声、動きなどに関する権利の法律による明文化(2)どのようなデータを基に生成したかなどの開示義務(3)対価の支払い義務(4)本人の意に沿わない使用の差し止め規定―などの必要性を指摘。「文化の発展とのバランスを取りながら、AI新法などの法整備が必要だ」と話した。
 文化庁は、AIを利用して生成した画像などの販売に関し、既存の著作物との「類似性」や「依拠性」が認められれば、通常の著作権侵害と同様に損害賠償請求などが可能で、刑事罰の対象にもなるとの見解を示している。同庁はAIと著作権の関係などについて啓発活動をする方針だ。

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