事故防止どこまで 不安残し飛行再開・米軍―三沢F16タンク投棄

東京, 12月08日, /AJMEDIA/

米軍三沢基地(青森県)所属のF16戦闘機が飛行中、民家近くに燃料タンクを投棄してから7日で1週間となった。米軍は早々に飛行を再開したが、機体に不具合が生じた直接の原因を明らかにしておらず、どこまで再発防止措置が講じられたのかも不透明だ。F16は北海道や首都圏、九州へも飛行しており、安全面の懸念は全国的な問題だ。
 岸信夫防衛相は7日の記者会見で、F16が11月30日に青森空港(青森市)に緊急着陸した当時の状況について、「米側の説明では、訓練のため飛行している際にエンジンの油圧が下がり続ける警告が出たため、パイロットが飛行不可能と判断した。時間的制約と差し迫る危険があった」と述べた。米軍が事故調査委員会を立ち上げることも明らかにし、原因については「調査結果を待ちたい」と語った。
 防衛省によると、落下したタンクは全長4.5メートル、直径1メートル、重さ215キロだった。同省は12月1日、ラップ在日米軍司令官に安全が確認されるまでの飛行停止を要請。しかし米軍は翌日、一方的にF16の飛行を再開した。岸防衛相が「遺憾の意」を表明した3日、ラップ氏が防衛省を訪問。F16全機の安全点検を実施した上で飛行を再開したと釈明した。
 日米関係者によると、対地攻撃能力を備えるF16はレーダーに探知されにくい低空での飛行訓練を岩手県など東北地方で実施している。在日米軍再編に伴う訓練移転では、三沢のF16が航空自衛隊千歳(北海道)、小松(石川県)、築城(福岡県)各基地へ飛行。グアムでの日米共同訓練などの中継地として横田基地(東京都)に飛来することもある。
 三沢のF16は機体のトラブルが絶えない。2012年に千島列島沖に墜落。エンジンの燃料遮断弁が閉まったままになり、操縦不能になったのが原因だった。15年にはオイル系統の不具合で燃料タンクを日本海に投棄し、青森空港に緊急着陸した。18年には離陸後にエンジン火災が発生し、燃料タンクを投棄して三沢基地に戻った。18年のトラブルは使用禁止の旧式部品が取り付けられたのが原因で、米軍の事故報告書は同基地のずさんな保守・整備体制を指摘していた。
 米空軍安全センターによると、F16の場合、「クラスA」と呼ばれる重大事故発生件数は年平均8.3件。嘉手納基地(沖縄県)にも配備されているF15戦闘機(3.24件)の2倍以上となっている。

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