中国の威圧に対抗 経済安保で付属文書へ―G7サミット

東京, 5月16日, /AJMEDIA/

先進7カ国(G7)は、広島市で19日に始まる首脳会議(サミット)で中国を念頭に、貿易相手国に圧力をかける「経済的威圧」への対抗措置を議論する。重要鉱物の中国依存から脱するため、「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国と連携した戦略物資のサプライチェーン(供給網)整備についても討議する。
 広島サミットでG7は、首脳宣言と別に経済安全保障分野の成果をまとめた付属文書で打ち出す。「ルールに基づく経済秩序の維持」に向け、中国への対抗姿勢をどれだけ強く打ち出すか詰めの調整を進めている。
 中国は2010年からの一時期、レアアース(希土類)の対日輸出を制限した。近年もオーストラリアに対してワインや大麦などの関税を引き上げたほか、台湾と関係を強めたリトアニアからの輸入を制限するなど、経済的威圧を強めている。
 G7は4月、貿易相会合で経済的威圧に共同で対応する方針を確認。対抗措置として「必要に応じて新たな手段を開発する」と、共同声明に明記した。昨年6月にドイツ・エルマウでまとめた首脳宣言の「経済的威圧を含む脅威への警戒を強化する」との表現から一歩踏み込んだ。
 電気自動車(EV)に不可欠なリチウムなど重要鉱物の製錬や加工は、中国などの特定国に集中している。米中対立の激化で調達が滞るリスクを避けるため、中南米諸国など重要鉱物の産出が見込める新興・途上国との連携を強化する。13日に閉幕したG7財務相・中央銀行総裁会議では、こうした低・中所得国を支援する新たな枠組みを世界銀行などとも連携して年内に設置することで合意した。
 さらに、ウクライナ危機で揺らいだエネルギーの安定供給と脱炭素化の両立も重要議題の一つ。温室効果ガスの排出量削減を加速させる上で、石炭火力発電の廃止時期やEV導入目標などを巡ってG7各国の意見が分かれており、最終調整を続ける。

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