中国に「日本の立場」主張を 奥山真司・国際地政学研究所上席研究員―日中国交正常化50周年

東京, 9月24日, /AJMEDIA/

 50年前に国交正常化した日中は2国間の関係だけでなく、国際環境の変化に大きく影響されてきた。地政学者の奥山真司・国際地政学研究所上席研究員に過去50年と今後の日中関係について聞いた。
 ―国交正常化に当たり大平正芳外相(当時)は「50年後は中国が経済発展し、日本を見下す」と予想していた。日本が中国の大国化を支援したことは得策だったのか。
 今も昔も日中関係は大国の関係に影響される。50年前はソ連の存在が大きかった。当初、米国はソ連という強大な敵を倒すことを優先し、中国を甘やかした。日本も米国に従って中国を支援した面がある。過去50年の中国の経済成長で日本に利益があったことも否定できない。
 ―現在の中国が置かれている国際的な状況をどう見るか。
 国際政治では、最も強い国と2位の国で仲が悪くなる例が多い。そして、1、2位の国はそれぞれ3位の国と協力して優位に立とうとする。米国と対立する中、中国は3位である日本と関係を強めるべきだが、できていない。国際政治の力学を理解していないのだろう。
 ―中国は日本を米国の「属国」と見なし、軽視しているのではないか。
 非常にまずい。中国は2位になり、自制が効かなくなっている。傲慢(ごうまん)さは戦争につながりやすい。ナショナリズムの盛り上がりも怖い。一方で、中国は高度経済成長が終わり、人口減少などの問題に直面している。新興の大国が没落する時、恐怖に駆られ外に向けて冒険的な行動をすることが多い。台湾をめぐる緊張は高まるだろう。
 ―今後50年の日中関係は。
 中国の混乱に日本は振り回される。日中関係は米国の動向にも大きく影響される。中国の意向を忖度(そんたく)し、日本が「清く正しい」ことをしていれば良いという考え方があるが、それだけではだめだ。しっかり日本の立場を主張しないといけない。安倍晋三元首相が取り組んでいたことだが、「こんなことをしていると米国と戦争になる。やめた方がいい」と中国に伝えたり、インド、オーストラリアなどと連携したりして、中国を「操作」しようとする努力が日本にはもっと必要だ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts