ポイント発行1兆4千億円、「バブル」の盛り上がり 官民あげて過熱

東京, 12月27日, /AJMEDIA/

 買い物などの金額に応じてもらえるポイントの発行が急拡大している。野村総合研究所は2020年度の発行額が過去最大の1兆4千億円相当に達したと推計。「マイナポイント」など、政府の政策で発行されたポイントが急増したことが大きな要因だ。「楽天経済圏」を掲げる楽天グループなど、ポイントを使った顧客の囲い込みや事業拡大の動きも加速している。

 推計の対象は、家電量販店、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ネット通販、クレジットカードなどの決済業を含めた11業種。発行企業の売上高やポイント還元率などから試算し、少なくとも民間分が約1兆円相当、政府系が約4千億円相当と見積もった。ボーナスポイントなども含めると、実際にはこの1・5~2倍の規模になっている可能性があるという。

 還元率は企業によって違うが、100円につき0・5~1円相当のポイントがつくのが一般的だ。最近では、提携する様々なお店やサービスの利用時にたまり、それらの支払いにも使える「共通ポイント」が広がり、民間の発行額は右肩上がりで伸びてきた。20年度はコロナ禍で航空会社のマイル発行が急減し、初めて前年度割れしたが、17年度と比べると1割増。今後も増え続け、25年度には3割増になると推計されている。

■マイナポイント、最大2万円分も

 さらに、ここ数年急増しているのが、政策によるポイント付与だ。19年10月の消費増税時には、消費の落ち込みを防ぐ狙いもあり、キャッシュレス支払いに対して決済額の最大5%分のポイントをつけた。20年9月からは、マイナンバーカードの取得者に最大5千円分の「マイナポイント」を付与。今後はカードと健康保険証や預貯金口座をひもづけると、最大2万円分のポイント付与になる。

 こうした政府のポイントを自社のキャッシュレス決済で使ってもらおうと、ポイントの上乗せ特典を打ち出す事業者が相次ぎ、官民一体で「ポイントバブル」ともいえる乱発が続いている。

 ポイント商戦はもともと、家電量販店や大手スーパーなどが力を入れてきたが、最近存在感を高めているのは携帯電話会社だ。

 高齢化や料金値下げで、通信事業の伸びは見込みにくい。そこで、各社ともポイントを使って顧客を囲い込み、QRコード決済や証券・保険などの金融関連、電力販売など幅広い生活サービスに進出する戦略を描いている。

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