フランスで外国人選挙権めぐり論争 与党議員提案、内相も反対

東京, 8月21日, /AJMEDIA/

フランスで今月、マクロン大統領を支える与党「再生」所属の下院議員が、全ての外国人に市町村議会選での選挙権と被選挙権を与える法案を議会に提出し、物議を醸している。仏メディアによれば、議員は事前に与党と相談しておらず、ダルマナン内相は反対の立場。極右や右派の政党も反発を強める一方、左派は賛成の意向を示しており、議会が再開する夏休み明けに大論争となりそうだ。
 議員立法で法案を提出したのは、下院法務委員長を務めるウリエ議員。欧州連合(EU)の創設を定めたマーストリヒト条約に基づき、1992年からEU出身の外国人居住者には市町村議会選での選挙・被選挙権が認められていることについて「外国人のカテゴリー分けは差別だ」と批判。EU外からの外国人居住者にも認める法案をまとめた。
 外国人の地方参政権をめぐっては、EU内でも対応は分かれている。ドイツやイタリアがEU以外の外国人には選挙権を認めていない一方、ベルギーやスウェーデンなどは一定の居住期間を条件に全外国人に選挙権を認めている。
 市町村選挙における全外国人への選挙権付与は、過去に社会党のミッテラン、オランド両元大統領も公約に掲げた。ただ、憲法改正が必要な上に右派からの反発が根強く、実現は困難とされる。
 ウリエ議員の提案に、共和党のシオティ議員は「この案に全力で反対する」とツイート。極右政党「国民連合(RN)」のバルデラ暫定党首も「フランス人から国を奪う最終措置だ」と投稿した。一方、環境政党所属のルカ議員はパリジャン紙に対し「賛成する」と話した。
 テロの脅威が依然高いフランスでは、政府が治安対策として罪を犯した不法移民の国外追放など厳しい措置の導入を検討中。仏メディアが自社サイト上で行っている公開アンケートでは、19日時点で約9割がEU外の外国人への選挙権付与に反対している。

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