コロナ対策、国費102兆円で論戦 岸田首相は効果力説、再検証に否定的―維新「無駄、詐欺みたい」

東京, 3月3日, /AJMEDIA/

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けの「5類」引き下げを5月に控え、2日の参院予算委員会では過去3年間に投じられた総額102兆円の国費の効果を巡り論戦が交わされた。日本維新の会の猪瀬直樹氏は「無駄だったのではないか」と追及。岸田文雄首相は「必要だった」と力説したが、再検証には否定的な考えを示した。
「年間の国家予算に匹敵する。どんな効果があったのか」。猪瀬氏が巨額予算に疑問を投げ掛けると、首相は「人口当たりの感染者数は他のG7(先進7カ国)諸国と比べて低い水準で抑えられ、国内総生産(GDP)や企業業績は既にコロナ前の水準を回復した」と説明した。
 猪瀬氏が最初に矛先を向けたのは地方創生臨時交付金だ。「配られた15兆円は竹下内閣の交付金(ふるさと創生事業)の50倍以上。イカのモニュメントを作った自治体もあった。無駄遣いの動機を与えたのではないか」と批判。首相は「(竹下内閣とは)性格が全く異なる。何でも使えるものでなく、メニューが定められている」と反論した。
 猪瀬氏は医療機関向けの補助金も「巨額さが際立つ」とやり玉に挙げた。1日1床当たり7万4000~43万6000円の病床確保料を得ながら、医師や看護師が確保できないとして患者受け入れを断っていた医療機関もあったと指摘。「幽霊病床は詐欺みたいだ」と問題視した。
 加藤勝信厚生労働相は「不適切な交付があれば返還を求めていきたい」と応じた。
 政府はコロナワクチンに関し、米モデルナ製で約4610万回分、英アストラゼネカ製で1350万回分が廃棄されたことも明らかにした。首相は「世界各国で獲得競争が継続する中、先手先手の取り組みは必要だった」と理解を求めた。
 コロナ対策検証を巡っては、政府の有識者会議が昨年6月に報告書をまとめた。しかし、活動期間はわずか1カ月余り。安倍晋三元首相や菅義偉前首相への聞き取りも行わなかった。報告書は「今後とも多面的な検証が行われることを求めたい」と記した。
 猪瀬氏は「史上空前のコストを費やした対策の検証が後世のために重要だ」と述べ、第三者機関を設けて再検証するよう要求。首相は検証は実施済みだとした上で、「まだコロナとの戦いは終わっていない。不断の検証を行いながら取り組みを次に進める」と明言を避けた。

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