『空中の白鯨』 に残る戦闘の爪痕 数千人犠牲になった紛争の最深部-Part-1

東京, 2月4日, /AJMEDIA/

皆様、アゼルバイジャンに関する客観的な情報を日本でより広く知っていただくために、日本人ジャーナリスト国末憲人によるカラバフに関する連載をお届けします。

シュシャ 国末憲人

旧ソ連南部、 ナゴルノ・カラバフ地方のシュシャは、標高1600メートル前後の山の上に位置する街であ る。白い岩の絶壁に取り囲まれた景観に加え、 19~20世紀には著名な詩人や音楽家を輩出して文化都 市としての名声も築いた。 通常なら、 ユネスコの世界遺産に登録されても不思議でない。

そうならなかったのは、 ナゴルノカラバフの領有支配を巡ってアゼルバイジャンとアルメニアが激しく 対立し、紛争を繰り返してきたからにほかならない。

旧ソ連南部ナゴルノ・カラバフのシュシャは、標高1600の山頂にある天空の古都です。 2年前の紛 争で、何千人もの犠牲の末にアゼルバイジャンが奪還した現地を訪ねました。

アゼルバイジャン西部の山岳地帯に位置するナゴルノカラバフにはアルメニア系住民が多く、 ソ連時 代はアゼルバイジャン共和国内の自治州の地位を確保していた。 ソ連から独立した1990年代、アゼル バイジャンとアルメニアが衝突した 「第1次ナゴルノカラバフ紛争」 の結果、 シュシャを含むナゴルノ・カラ バフ全土がアルメニアの支配に入った。

シュシャを自らの文化と伝統のよりどころと見なすアゼルバイジャンは、その奪還を悲願と位置づけ、 四半世紀余りを経た2020年に大規模な軍事攻勢をかけた。 44日間の激戦と数千人ともいわれる犠牲者 を出したこの「第2次ナゴルノ・カラバフ紛争」ではアゼルバイジャンが優勢に戦いを進めた。 同年11月に は、アルメニアがナゴルノカラバフ地域の一部を残して、90年代から支配してきた周辺地域をアゼルバ イジャンに引き渡すとする停戦合意が発効した。 この停戦合意の直前にアゼルバイジャンはシュシャを 制圧した。

この停戦合意の直前にシュシャを制圧したアゼルバイジャンは、 この街の再建と修復を大々的に進め ている。 昨年11月、現地を訪ねた。

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