「水密隔壁」設置求めず 船内の穴、検査で一部未確認―知床観光船事故で国交省

東京, 6月4日, /AJMEDIA/

 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、国土交通省がカズワンと同じ航行区域を設定している全国の小型船舶について、「浸水拡大を防ぐ『水密隔壁』の設置は不要」として船舶検査を運用していることが3日、同省への取材で分かった。カズワンの隔壁には複数箇所に穴が開けられていたが、同省はこの運用に従い、一部の穴について検査で確認していなかった。
 カズワンの航行区域は、湾内と目的地を2時間で往復できる「二時間限定沿海」に分類される。小型船舶の設備要件を定めた安全規則は、この航行区域の船について、水密隔壁設置の要否を検査機関の運用に委ねている。
 カズワンには、船首甲板下に1枚、船体中央にある機関室の前後に1枚ずつの計3枚の隔壁がある。運航会社「知床遊覧船」の関係者によると、全ての隔壁に船員が通るための80センチ四方の穴が開けられていた。
 同省などによると、昨年の定期検査で、機関室前後の隔壁の穴については、機関室からの出火と延焼防止の観点からふさぐように指導した。一方、船首下の1枚は機関室と離れており、延焼防止と無関係のため確認をしなかったという。
 斉藤鉄夫国交相は3日の閣議後の記者会見で、「法令上、水密構造の完全密閉は求められておらず、検査機関も確認していない」と説明。一方、安全規則に詳しい関係者は「規則は水密隔壁設置を否定しておらず、運用で設置を求めることができる。浸水の拡大を抑えるために必要だ」と話し、同省の運用を疑問視した。

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