「子ども予算20兆円」政府火消し 独り歩き懸念、岸田首相の答弁修正

東京, 2月17日, /AJMEDIA/

 政府は16日、岸田文雄首相が掲げる子ども・子育て関連予算の倍増について、児童手当や保育サービスなどの「家族関係社会支出」の倍増を指すと受け取れる首相自身の国会答弁を補足・修正した。言葉通りなら国内総生産(GDP)比4%、20兆円超に上る。予算規模が独り歩きし、4月の統一地方選を前に財源論に焦点が当たるのを避ける狙いもありそうだ。
 首相は15日の衆院予算委員会で、子ども政策の規模に関する野党議員の質問に対し、「家族関係社会支出は2020年度でGDP比2%を実現している。それをさらに倍増しようと言っている」と答えた。
 昨年以来、首相は「将来的な子ども・子育て予算の倍増を目指す」と表明。ただ、具体的な額については言及を避けてきた。
 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の昨年8月の発表によると、20年度の家族関係社会支出は10兆7536億円で、GDP比は2.01%。倍増させるには約11兆円の財源が新たに必要になる計算だ。
 松野博一官房長官は16日の記者会見で、首相答弁について「将来的な倍増を考えるベースとして家族関係社会支出のGDP比に言及したわけではない」と補足。「(12年末の)政権交代以降、子ども予算をしっかり拡充してきたことを説明する一つの例として申し上げた」と釈明した。
 首相周辺も「首相発言の『それ』とは、あくまで子ども関連予算一般の話だ。家族関係社会支出を指していない」と火消しに努めた。
 そもそも政府は、統一地方選前は財源論よりも、児童手当の拡充など必要な施策の積み上げを優先する考えだ。3月末をめどに具体策のたたき台を取りまとめ、6月に策定する経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で将来の「倍増」に向けた大枠を示すとしている。
 政府・与党の間では、子育て政策の一つとして若年夫婦を対象にした住宅支援なども検討されている。首相答弁の補足・修正は、こうした支援策を含めて予算規模を算出することを想定しているためとみられる。
 政府関係者は15日の答弁内容について「事前に聞いていなかった」と驚きの表情。自民党の少子化担当相経験者も「首相の勘違いではないか。家族関係社会支出だけで倍増するのは相当難しい」と述べた。

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