G20、合意形成は困難 ウクライナ侵攻めぐり分断―渡辺元財務官

東京, 7月10日, /AJMEDIA/

 元財務官で国際通貨研究所の渡辺博史理事長はインタビューに応じ、インドネシア・バリ島で開かれる20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議について、合意形成は困難との見方を示した。ロシアのウクライナ侵攻をめぐり参加国間の分断が深まっており、共同声明を出せなかった4月会合と大きな変化はないと指摘した。
 ―G20財務相・中銀総裁会議の展望は。
 米国の金利引き上げで新興国からの資金流出が起きている。(ロシアのウクライナ侵攻に伴う)穀物輸出の混乱でアフリカの食料問題は深刻だ。ただ、前回4月会合と状況はあまり変わらない。ウクライナについて何も書かれていない共同声明に、日米欧の先進7カ国(G7)は合意できないし、書くのであればロシアは合意しないだろう。
 ―世界経済の現状は。
 2010年代以降で一番悪い年になっていることは間違いない。(世界全体の)需給バランスが大きく崩れた上に、新型コロナウイルス禍などさまざまな問題が積み上がり、(各国の)対応力は落ちている。
 ―円安進行への日本の対応は。
 為替介入にはほぼ意味がない。日米金利差拡大で円安にアクセルが踏まれているのに、介入でブレーキをかけるというのは変だ。円安の背景には日本経済への失望感もある。
 ―G20の存在意義が問われている。
 中国やインドなどの新興国やG7、東南アジアなどがまとまって議論する場が他になくなっている。国連があまり機能していない現状では、そういう場があってもいいのではないか。

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