1人区、過半数で野党競合 立・共主導の一本化難航―参院選

東京, 4月30日, /AJMEDIA

 参院選の行方を左右する全国32の1人区。野党は直近の2回、全ての1人区で自民党と一騎打ちに持ち込んだが、今回は様相が異なる。立憲民主党と共産党が主導する候補者調整に国民民主党が背を向け、日本維新の会は積極的に独自候補を立てる構え。このため、野党が候補者を一本化できずにいる選挙区は、半数を超す17に上る。
 立民は基本政策の異なる共産との共闘について、昨年10月の衆院選敗北につながったとみて慎重だった。だが、泉健太代表は3月下旬、自民党と対峙(たいじ)するには一本化は避けて通れないと見定め、共産だけでなく国民も巻き込んでの候補者調整に踏み出した。
 だが、国民は2022年度予算に賛成するなど「与党シフト」を強め、調整は難航。立民は、過去2回とも自民党に敗れた「勝てない1人区」(立民幹部)で、一本化への努力を放棄しつつある。泉氏は25日の記者会見で「候補者調整は地域ごとにばらつきが出てくる」と認めた。
 こうした経緯から、野党の公認候補や野党が推す無所属候補が競合する1人区は、29日時点で17選挙区。一方、とりあえず一本化しているのは立民の現職がいる青森、岩手、山梨、新潟、長野など11選挙区にとどまる。
 国民との対決姿勢を鮮明にする共産は、国民現職の立つ山形と大分に新人をぶつけた。野党候補が不在の石川や、共産だけが候補を立てる和歌山、徳島・高知、佐賀は調整の対象となるか不透明で、新たな競合が発生する可能性もある。
 ここへきて、全国政党への脱皮を目指す維新が1人区に手を広げている。立民と共産が中心の野党共闘にくみせず、栃木、富山、香川、長崎で既に候補を擁立。さらに独自候補を立てようと躍起になっており、複数の野党が争って自民党を利しかねない流れは強まる一方だ。

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