集客施設から地域に誘導 消費拡大へデジタル化模索―観光庁

東京, 12月26日, /AJMEDIA/

 観光庁は、デジタル技術を駆使した新たな観光サービスを模索する実証実験を全国5カ所で行っている。QRコードや顔認証システムなどを観光分野に活用。茨城県鹿嶋市や山梨県の富士五湖エリアでは、サッカースタジアムなどの集客施設を訪れた人を地域に誘導し、消費拡大に取り組んでいる。
 J1鹿島アントラーズ(鹿嶋市)のスタジアムには、試合開催日に約2万人(新型コロナウイルス流行前の2019年の平均)のサポーターが訪れる。だが、試合後、どこにも立ち寄らずに帰宅する人も多く、地域活性化につながらないのが課題だった。
 実証は11月の試合開催日の3日間実施した。スタジアム周辺の飲食店や土産店、道の駅など約40カ所にQRコードを設置。スマートフォンで読み込むとポイントがたまり、ユニホームやタオルなど鹿島のグッズと交換できる仕組みにした。
 2000回を目標としていたQRコードの読み込み回数は、3000回を突破。グッズを受け取ったサポーター(56)は「普段は試合後飲食店に寄るだけだが、(実証期間中は)道の駅など3カ所を回った」と語った。
 山梨県の富士五湖エリアでは11月以降、富士吉田市の遊園地「富士急ハイランド」など観光施設約30カ所の利用料や、鉄道・バスの運賃をひとまとめにしたデジタルチケットを富士急行が販売。事前に登録した顔の画像の認証だけで全て観光できるシステムを構築した。
 富士急行の雨宮正雄執行役員は「今後は対象施設を拡大するなど、より広いサービスの可能性を検討する」と話す。
 観光庁は2022年度も実証を行う方針。担当者は「国の補助金がなくても事業を継続できるビジネスモデルの構築が目標だ」と力を込める。

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