衛星通信「スターリンク」導入 長期航海のストレス軽減に―防衛省検討

東京, 8月21日, /AJMEDIA/

 防衛省が、米航空宇宙企業スペースX社が提供する人工衛星網による高速インターネット通信「スターリンク」の導入を検討していることが分かった。関係者が20日、明らかにした。長期航海に当たる海上自衛隊艦艇に端末を搭載し、通信能力を強化。乗組員が地上の家族らとの連絡を取りやすくしてストレスを軽減し、なり手不足問題の解決につなげる狙いだ。
 2023年度予算概算要求に、関連経費を計上。早期の運用開始を目指す。
 スターリンクは、高度2000キロメートル以下の低軌道を周回する多数の衛星を網のように張り巡らせる「衛星コンステレーション」によって、高速・大容量の通信を実現。ロシアの侵攻を受けたウクライナでは通信網が攻撃されたが、スペースXがスターリンクを提供して通信環境を維持したことが話題になった。
 一部の海自艦艇では現在、限られた区画で無線LANが提供され、乗組員は私用のスマートフォンなどでメールの送受信ができる。ただ、通信速度は遅く、送受信は文字のみ。時間も限定され、若い隊員を中心に不満が根強くある。21年11月に岸信夫防衛相(当時)が乗組員の家族と車座対話に臨んだ際には、通信環境の改善を求める意見が出ていた。
 スターリンクを導入すれば、文字だけではなく画像や動画の送受信ができるようになる可能性がある。
 少子高齢化によって、自衛隊の人材確保は喫緊の課題。長期の洋上勤務が必要な海自乗組員については確保が一層難しくなっている。防衛省は「いくら装備があっても隊員が集まらないと意味がない」(幹部)と危機感を募らせ、さらなる対策を検討している。

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