衆参5補選、政権求心力に影響 自民全勝狙う、野党は調整難航―投開票まで2カ月

東京, 2月24日, /AJMEDIA/

 4月23日投開票の衆院千葉5区、和歌山1区、山口2・4区の補欠選挙まで2カ月となった。参院大分選挙区でも同時に補選が行われる見通し。統一地方選の後半戦との同日選となる。国政選挙は昨年7月の参院選以来で、結果は岸田政権の求心力に影響しそうだ。自民党は全勝を期し、次期衆院選への弾みとしたい考え。野党は候補が乱立したり、擁立が難航したりしており、攻勢につなげられるかは不透明だ。
 自民党の森山裕選対委員長は22日の講演で「衆院補選をしっかり戦い抜きたい」と強調。参院大分補選の実施も決まれば候補を擁立する意向を示した。立憲民主党の泉健太代表は国会内で記者団に「選択肢を示せるよう最大限の努力をしていきたい」と意気込みを語った。
 5補選のうち、対決構図が際立つのが千葉5区。「政治とカネ」の問題で薗浦健太郎元衆院議員=自民離党=が辞職したことに伴う。自民党は公募の結果、元国連職員の新人の擁立を決定。野党側は立民、日本維新の会、国民民主、共産4党がそれぞれ自前の候補を立てる。同区は千葉県市川市の一部と浦安市で構成され、東京都と隣接する。野党各党とも次の衆院選をにらみ、都市部で政策をアピールする場としたい考えだ。
 立民は野党候補の絞り込みを模索するが、維新は拒む。維新の藤田文武幹事長は22日の記者会見で「自民党の不祥事で空席ができた。各党が切磋琢磨(せっさたくま)して新しい選択肢を示し、勝利を目指したい」と宣言した。国民も一本化を否定する。泉氏は「与野党一騎打ちが理想だが、そう簡単につくれるわけではない」と認める。
 保守地盤が固い和歌山、山口の3補選でも自民党の準備が先行する。和歌山1区は、知事に転じた岸本周平氏=国民民主離党=の議員辞職に伴うもので、自民党県連が元職擁立を決めた。山口2区は岸信夫前防衛相の議員辞職、同4区は安倍晋三元首相の死去を理由とした補選で、いずれも新人を擁立する。
 野党も候補擁立を目指すが、結論は出ていない。維新は「(本拠地の)大阪に近く、戦うべき場所」(藤田氏)として、和歌山1区で最終調整を進める。立民は擁立作業が難航しており、党幹部は「(地元の)組織が弱く、なかなか活動できない」と頭を抱える。
 大分県知事選(4月9日投開票)に出馬を表明していた野党系無所属の参院議員は3月上旬にも議員辞職する意向を表明。3月15日までに辞職すれば参院大分補選が、公職選挙法の規定により衆院4補選と同じ投開票日程で行われる。与野党は候補者擁立へ作業を急ぐ。
 補選の勝敗は、岸田文雄首相(自民党総裁)の衆院解散判断にも影響を与える可能性がある。自民党関係者は「全勝を目指す」と明言。これに対し、ある野党の幹部は「五正面作戦で戦うのは無理だ」と、増え続ける補選の数に悲鳴を上げた。

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