自民と維新、批判の応酬 「蜜月」から一変、参院選意識

東京, 5月15日, /AJMEDIA/

 夏の参院選が迫り、自民党と日本維新の会は批判の応酬を繰り広げている。以前は近い関係にあった両党が対決モードに入った背景には、自民党が昨年10月の衆院選で野党第2党に躍進した維新への警戒感を強めていることがある。維新も保守票など自民支持層の切り崩しを狙っている。
 口火を切ったのは自民党の茂木敏充幹事長。8日、維新のお膝元である大阪市で街頭演説し、維新創設者の橋下徹元大阪市長によるロシアのウクライナ侵攻に関する主張を「ロシア寄り」と批判。「維新の国会議員は(橋下氏に)何も言えない。身を切る改革ではなく身内に甘い政党だ」と当てこすった。
 これを受け、維新の松井一郎代表(大阪市長)は9日、橋下氏は維新の党運営と無関係だと反論。茂木氏についても「民間人の言論を弾圧するのか。大自民党の幹事長としては薄っぺらい」と皮肉った。藤田文武幹事長も11日の記者会見で「維新のような弱小政党をやゆしてくれるのは大変光栄だ」と挑発した。
 かつて両党は自民党の安倍晋三、菅義偉両氏と維新の橋下、松井両氏が「杯を交わした兄弟」(維新幹部)と言われるほど、個人的なパイプを築いていた。国会運営でも連携するなど蜜月関係にあったといえる。
 ただ、維新の党勢拡大を受けて、自民にとって維新は「補完勢力」から「脅威」(自民関係者)へと変わった。党内で岸田文雄首相はハト派と位置付けられており、参院選で維新に保守票をさらわれるのではないかとの危機感も根強い。2022年度予算に賛成した国民民主党が与党に接近していることも影響しているとみられる。
 維新は、首相が否定する核共有の議論に前向きなほか、韓国への強硬姿勢を打ち出すなど、保守票の取り込みに躍起だ。岸田政権内からは「維新を甘やかしてはいけない」(首相周辺)との声も漏れている。

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