旧・文通費、使途公開で対立 自民、公約記載なし

東京, 7月2日, /AJMEDIA/

 参院選で、国会議員1人当たり月100万が支給される調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の使途公開や未使用分の国庫返納も重要な論点だ。立憲民主党や日本維新の会などが使途公開や国庫返納を掲げる一方、使途公開に慎重な自民党は公約で触れなかった。
 給与に当たる歳費とは別に支給される手当である旧・文通費は、使途の報告・公開義務はなく、目的外使用への罰則もないため「第2の給与」とも呼ばれていた。
 旧・文通費をめぐっては、昨秋の衆院選後、月に1日でも在職すれば満額受け取れることが問題視され、与野党が今年2月に協議会をつくり、議論をスタート。4月に日割り支給を導入する法改正が行われた。
 名称は調査研究広報滞在費に変更されたが、支給目的に「広報」や「国民との交流」などが加わり、使途は事実上拡大された。「使い勝手のよさ」は旧・文通費と何ら変わっておらず、野党は参院選で争点化を図った。
 ◇5党が「公開、返納」
 立民は公約に「2021年衆院選が実施された(同年)10月分の日割り計算額との差額の国庫返納、使途報告・公開の制度を整備する」と明記。公明党も「使途の限定、使途の公開、未使用分の返納を行うなど国民が納得できる仕組みへと改革する」とした。
 旧・文通費問題を真っ先に指摘した維新も使途公開、領収書添付、残額の国庫返納の義務化をうたい、「成立するまでは自主的な領収書公開などを継続する」とアピールした。国民民主党も使途公開と未使用分返納の義務化を盛り込んだ。
 共産党は使途、公開、返納のルール化を求める一方、在京議員にも滞在の費用が支払われていることを問題視。「経費の面で不合理なものは改めるべきだ」と訴えた。
 公約で言及しなかった自民は、使途公開や残額の国庫返納には慎重な立場。争点化を避けて沈静化を図る狙いがあるとみられる。
 同様に公約に記さなかったれいわ新選組は「他党と資金面で格差がある。政治活動に使う」(山本太郎代表)として国庫返納に否定的。社民、NHK両党も公約では触れていない。
 ◇JRパス悪用防止も
 「議員特権」見直しに取り組む姿勢を示す政党もある。今年5月、参院議員引退後も立民岐阜県連常任顧問だった山下八洲夫被告=立民除籍=が国会議員のJR無料パスを悪用して新幹線グリーン券をだまし取ったとして逮捕、起訴された。この問題を受け、国民は公約に「悪用を防止するため、写真付きにするとともにICカード化する」と記載した。
 「身を切る改革」を掲げる維新は、衆参両院の委員長らに国会開会中に支給される日額6000円の手当を廃止すると明記。議員報酬・定数の3割カットなど独自の政策を掲げた。

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