日中国交50年、祝賀ムード乏しく 続く緊張、民間事業を支援

東京, 6月6日, /AJMEDIA/

 日中国交正常化50年を9月に迎えることを踏まえ、政府は民間交流事業の支援に乗り出した。覇権の拡大を図る中国とは緊張が続く見通しで、祝賀機運は乏しいまま。両政府が前面に出る大掛かりな式典の開催は難しく、民間に関連行事を委ねる格好となりそうだ。
 外務省は財界主体の「日中交流促進実行委員会」と連携し、青少年交流や文化、スポーツなどの分野で一定の基準を満たすものを「国交正常化50周年事業」に認定する取り組みをスタートさせた。1日に記者会見した小野日子外務報道官は「国民交流や経済交流を後押ししていく」と語った。
 ただ、公式ロゴマークの使用を認める程度で、特別な助成はない。これまでも5年ごとに行ってきており、新味を欠く。ある外務省関係者は政府間の行事について「正直に言ってもう間に合わない」と明言した。
 日中両国は1972年9月29日、当時の田中角栄首相と周恩来中国首相が日中共同声明に署名し、国交を樹立した。岸田文雄首相は就任直後の昨年10月、習近平国家主席と電話会談し、節目の50年を機に「建設的かつ安定的な関係」の構築を目指すことを申し合わせた。
 だが、中国軍はこのところ日本周辺での活動を一段と活発化。ウクライナ危機をめぐり、日米欧などの自由主義陣営と中国やロシアなど専制主義国の対立が先鋭化した。
 対中けん制を際立たせた5月下旬の日米首脳会談や日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」首脳会議に対し、中国側は「強烈な不満」を表明した。日本外務省は4月、中国・モンゴル第1課に「戦略班」を設け、動向分析を強化している。
 林芳正外相と王毅国務委員兼外相は5月中旬、テレビ会議形式で会談し、王氏が林氏に訪中を招請した。中国側には日米間にくさびを打ち込む狙いがあるとみられ、安易に応じることは岸田政権のリスクになりかねない。日本政府は「何も決まっていない」と強調している。
 外交筋は「日中関係は当面、低空飛行が続く」と語る。安倍政権下で協議された習氏の国賓来日は事実上棚上げ状態にある。別の日本政府関係者は「首脳間で電話会談でもできれば雰囲気が変わるかもしれないが、参院選前は難しい」との見方を示した。

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