愛媛 伊方原発3号機 運転停止求めた訴え退ける 大分地裁

東京, 03月07日 /AJMEDIA/

愛媛県にある伊方原子力発電所3号機について、対岸の大分県の住民が地震や噴火への対策などが不十分だと主張して運転の停止を求めた裁判の判決で、大分地方裁判所は住民側の訴えを退けました。愛媛や広島などで起こされた一連の集団訴訟では初めての判決でした。
愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機について、対岸の大分県の住民569人は地震や火山噴火への対策などが不十分だと主張して、四国電力に対して運転の停止を求めていました。

これまでの裁判で、住民側は「原発の近くには国内最大級の『中央構造線断層帯』のほかにも活断層が存在する可能性があるにもかかわらず、地下構造を詳しく把握する『三次元探査』を行っておらず福島第一原発の事故を受けて原子力規制委員会が策定した新規制基準に違反する」と主張したのに対し、四国電力は『三次元探査』は不要だとしたうえで「最新の知見をもとに安全性を確保している」と主張していました。

また住民側は、熊本県の阿蘇山の巨大噴火を想定した対策などが必要なのに不十分だと主張したのに対し、四国電力は、阿蘇山は原発の運用期間中に巨大噴火が起きる可能性は十分小さいなどと反論していました。
7日の判決で大分地方裁判所の武智舞子裁判長は住民側の訴えを退けました。住民側は判決を不服として控訴する方針です。

伊方原発3号機をめぐっては、広島高等裁判所が2度、地震や噴火のリスクを指摘し運転を認めない仮処分の決定を出しましたが、その後、決定が取り消され、判断が分かれていました。

今回は、愛媛、広島、山口で起こされた一連の集団訴訟では初めての判決で、能登半島地震後の原発の安全対策をめぐる司法判断としても注目されていました。

伊方原発 対岸の大分市中心部からは70kmほど
愛媛県伊方町の佐田岬半島にある伊方原子力発電所は当初、1号機から3号機まで稼働していましたが、1号機と2号機は廃炉が決まり、現在、運転中なのは3号機だけです。

東京電力福島第一原発の事故を受けて原発の安全性を問う声が高まり原発がある愛媛県のほか、広島、山口、それに大分県の住民による集団訴訟が起こされました。

伊方原発3号機の安全性をめぐっては異なる司法判断が相次ぎ、運転の停止と再開が繰り返されてきました。

広島県の住民などが運転の停止を求めた仮処分の申し立てについて広島高等裁判所が2017年12月、火山噴火のリスクを指摘して運転の停止を命じる決定を出しました。

しかし、四国電力が異議を申し立て、2018年9月に広島高裁の別の裁判長が決定を取り消し、運転を認めました。

また、2020年1月には、山口県の住民による仮処分の申し立てについて、広島高裁が「地震や火山噴火によって重大な被害が及ぶ危険がある」などとして、再び運転を認めない決定を出しましたがこの決定も翌年に取り消されました。

伊方原発3号機はその後も電源の一時喪失や原発の保安規定違反などのトラブルが相次いだ影響で運転が停止することもありましたが、地元説明や定期検査を経て現在、運転を続けています。

四国電力 「妥当な判決」
判決について四国電力は、「伊方原子力発電所3号機の安全性は確保されているという当社のこれまでの主張が裁判所に認められたもので、妥当な判決だと考えている。引き続き、安全対策に不断の努力を重ねるとともに今後の安全・安定運転に万全を期していきたい」とするコメントを発表しました。

原子力規制庁「コメントする立場にない」
大分地方裁判所が住民側の訴えを退けたことについて、原子力規制庁は「裁判の判決については承知しているが、国が当事者になっている裁判ではないためコメントする立場にない」としています。

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