岸田首相、政権立て直し遠く 後手判断で政治日程混乱

東京, 11月22日, /AJMEDIA/

 今国会会期末まで3週間を切る中、岸田文雄首相は2022年度第2次補正予算案と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を踏まえた被害救済・防止法案の成立に全力を挙げる方針だ。閣僚3人の「辞任ドミノ」に揺らぐ政権を立て直すには「結果を積み重ねるしかない」(周辺)との判断からだ。ただ、後手に回る首相の判断は混乱を引き起こしており、苦しい政権運営が続きそうだ。
 「任命責任を重く受け止める」。約2時間遅れで始まった21日の衆院本会議で、首相は葉梨康弘前法相と寺田稔前総務相の辞任についてこう釈明。その上で「補正審議、被害者救済新法などの重要課題に答えを一つ一つ出す」と強調した。
 閣僚辞任に関する首相の国会説明は山際大志郎前経済再生担当相の時に続いて2回目。極めて異例の対応のため、自民党は「二度と応じない」(国対関係者)としていたが、1カ月足らずで3閣僚が辞任する事態に野党が勢いづき、要求を受け入れるしかなくなった。
 閣僚の進退を巡る首相の判断は遅れ続けた。寺田氏については葉梨氏と同時の更迭を求める声が出たにもかかわらず、首相は「もう少しやらせたい」と断った。自民党内には「傷口を広げた」(幹部)といら立ちが募る。
 公明党の佐藤茂樹国対委員長は21日、「見極めが少し遅過ぎた。これ以上足を引っ張るネタを提供しないでほしい」と記者団に語り、与党幹部としては異例の厳しいトーンで首相を批判した。
 実際、国会日程には狂いが生じた。21日の本会議開会が遅れただけではない。総合経済対策の裏付けとなる補正予算案を巡り、与党は当初、24日に実質審議に入り、月内に成立させる日程を描いていたが、総務相交代で数日単位でずれ、月内成立は絶望的になった。経済対策実行の遅れを意味し、首相には痛手だ。
 野党からは22日に予定されていた衆参両院本会議での首相の東南アジア歴訪報告に代わり、衆参予算委員会での集中審議を求める声が出た。
 補正予算案成立が12月にずれ込んだ場合、被害救済・防止法案の審議は極めて窮屈になる。政府法案を「骨抜き」と問題視する立憲民主党の安住淳国対委員長は党会合で「自民党に譲歩を求めていく」と宣言。首相は与野党協議を打ち切って政府法案を採決するか、同10日までの会期を延長して妥協点を探るか、難しい判断を迫られそうだ。
 閣僚3人の連続辞任を受け、首相の求心力は低下している。寺田氏の後任には麻生派の松本剛明元外相が決まったが、自民党内では「麻生太郎副総裁の要求に応ぜざるを得なかった」(中堅)との見方が出ている。党関係者は「今は耐え、すべきことを淡々とするしかない」と語った。

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