岸田首相、サミットへ結束主導狙う ウクライナ支援、もどかしさも―侵攻1年

東京, 2月24日, /AJMEDIA/

 ロシアのウクライナ侵攻から24日で1年。岸田文雄首相は対ロ制裁やウクライナ支援で国際社会の結束を強めたい考えだ。だが、軍事支援や連帯を示すための同国訪問には制約があり、もどかしさも抱える。先進7カ国(G7)議長国として主導的な役割を果たせるか、手腕が問われる。
 昨年2月の侵攻以降、日本は米欧と足並みをそろえ、ウクライナ支援を実施してきた。周辺国などへの分と合わせ、これまでの支援総額は約15億ドルに上る。首相は20日、新たに55億ドル(約7400億円)の追加財政支援を表明。他のG7諸国と比べても「恥ずかしくない額」と首相周辺は胸を張る。
 一方、軍事面では、戦車などを供与する米欧に対し、日本は防衛装備移転三原則で武器供与に制約があることから、防弾チョッキやヘルメットの提供にとどまっている。
 戦況に直接影響を及ぼす支援ができない中、日本が重視するのがG7の結束だ。物価高や燃料費高騰を受け、欧米各国の「支援疲れ」が指摘されており、林芳正外相は20日の講演で「侵略を止めるため、制裁と支援を強力に推進する」と述べた。
 日本の姿勢の背景には中国の存在がある。首相は「ウクライナはあすの東アジアかもしれない」とたびたび強調。ロシアの行動を、台湾統一への野心を隠さない中国と重ねてきた。「力による一方的な現状変更の試み」を許した前例を作らないためにも、各国への働き掛けを強める。
 ウクライナとの連帯を示す上で、首相がこだわっているとされるのが首都キーウ(キエフ)訪問だ。今年1月にゼレンスキー大統領から要請を受け検討を重ねているが、安全確保や国会との関係でハードルが多く実現のめどは立っていない。今月20日にはバイデン米大統領が電撃訪問。政府関係者からは「5月のG7広島サミットの際に、行っていないのは1人という状態は避けたい」との声も漏れる。
 ロシアのプーチン大統領は核兵器の使用をちらつかせ、21日には米国との核軍縮条約「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行停止を表明した。首相は「法の支配に基づく国際秩序を堅持するための取り組みを主導する」と強調し、核廃絶も含めて広島サミットで明確なメッセージを打ち出したい考えだが、取り巻く環境は厳しい。

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