「事項要求」拡大、青天井も 財政膨張、歯止めは不透明―概算要求基準

東京, 7月31日, /AJMEDIA/

 各省庁が財務省に予算要求する際のルールとなる概算要求基準が決まり、2023年度予算の編成作業が本格化する。要求総額には上限を設けず、防衛費や原油・物価高対策など幅広い分野で金額を示さない「事項要求」を容認するなど、要求が「青天井」になる可能性がある。大型の補正予算編成に伴うバラマキも近年常態化しており、財政の膨張傾向に歯止めがかかるかどうかは極めて不透明だ。
 6月に閣議決定された経済財政運営の基本指針「骨太の方針」をめぐり、自民党内では故安倍晋三元首相率いる積極財政派と財政再建派が対立。積極財政による防衛力強化を訴えた故安倍氏らの主張が反映され、歳出改革については「重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならない」と骨太方針に明記された。この方針は概算要求基準にも引き継がれた。
 年末の予算編成に向けては、防衛費や少子化対策、脱炭素政策の具体化とその財源確保が焦点となる。防衛費は22年度当初予算で5.4兆円。自民党内では5年以内に国内総生産(GDP)比2%に引き上げることを前提に、23年度予算で「6兆円台半ば」(茂木敏充幹事長)を求める声が強い。脱炭素分野では、岸田文雄首相が将来の財源の裏付けを持った「GX経済移行債」(仮称)で20兆円規模の政府資金を確保する方針を打ち出したが、償還財源の議論は難航も予想される。
 政府は、国と地方を合わせた基礎的財政収支(PB)を25年度に黒字化する目標を維持することで財政の膨張を食い止めたい考えだ。
 しかし、自民は先の参院選で少子化対策や子育て支援でも「将来的に予算の倍増を目指す」と公約。党内には「黒字化目標は重要政策のための予算確保の妨げになる」との意見も多く、目標の撤廃や黒字化期限の先送りなどの見直しを求める声が改めて強まりそうだ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts