IT啓発へ「伝道者」活用 社内外に分かりやすく発信―日立など

東京, 8月21日, /AJMEDIA/

 日立製作所など国内企業が、自社のIT事業を普及・啓発する専門人材「エバンジェリスト」(伝道者)を相次いで起用している。専門分化するIT分野の技術的な知識を社内外に分かりやすく伝え、サービス・製品の価値を浸透させるのが任務だ。米IT企業が先行したとされるが、デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応が急務の日本企業も活用を本格化させている。
 日立は昨年、IoT(モノのインターネット)基盤「ルマーダ」の考え方を伝えるエバンジェリストとして、元日本マイクロソフト業務執行役員の澤円氏を迎え入れた。ルマーダは、データを活用して顧客の課題解決を目指す日立の成長戦略の中核だが、抽象的で分かりづらいとの声もある。
 そこで白羽の矢を立てたのが、IT業界で「プレゼンテーションの神様」の異名を取る澤氏だ。澤氏はさまざまな講演活動に加え、顧客とのミーティングにも同席し理解促進をサポート。グループ約37万人の従業員に対しても、会社が目指す方向性などを説いて回り、浸透を目指している。
 澤氏は自らの役割を「伝言ゲームの先頭」と位置付け、「究極的に自分が用無しになるのが一番」と強調。平易な言葉で、ルマーダとITに関する発信を続ける。
 国内の大企業では、富士通やNTTコミュニケーションズなどもエバンジェリストを活用している。勤怠管理システムを展開するチームスピリットでエバンジェリストを務める荻島将平氏は、デジタル化の進展を背景に「業務とITの知識を融合して分かりやすく語ることができる人材が必要」と指摘する。
 サービス利用者にエバンジェリストの活動を担ってもらう動きもある。フリーマーケットアプリ大手メルカリの小規模事業者向け店舗開設サービス「メルカリShops(ショップス)」では、公募で7人のユーザーを「コミュニティエバンジェリスト」に認定。店舗運営のコツを発信してもらうなど他のユーザーの先導役を託した。
 同社子会社でメルカリShopsを運営するソウゾウ(東京)の久間美咲コミュニティマネージャーは「普通の人でもショップ運営に挑戦し、成功できるということを伝えたい」と話している。

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