2%物価、機械的追求は不適当 円安「良い」「悪い」に違和感―白川前日銀総裁インタビュー

東京, 4月12日, /AJMEDIA

 白川方明前日銀総裁は11日までに時事通信のインタビューに応じた。白川氏は、日米欧など主要中央銀行が採用している2%の物価上昇目標について「短期的、機械的に追求するのは適当ではない」と述べた上で、金融政策は持続的成長を脅かすバブル経済などにも十分目配りした運営が重要だと指摘した。2013年1月に日銀と政府が結んだ2%目標を明記した共同声明も「幅広い点検が必要との精神が込められている」と強調した。
 白川氏は総裁任期中の11年秋に円相場が1ドル=75円台と戦後最高値を付けるなど円高に苦しみ、断続的な金融緩和を余儀なくされた。一方、足元で円相場は125円台まで下落し、一段の物価高を引き起こす「悪い円安」懸念が広がるなど状況が一変している。
 しかし、白川氏は「円高も円安も『良い』『悪い』で評価するのには違和感を覚える」と言及。物価目標と同様、為替レートだけに焦点を当てて金融政策を議論すべきではないと主張した。
 原材料高による最近の物価上昇が一時的なのか、世界的な低インフレからの大きな転換なのかについて、白川氏は「難しい問いだ」と語った。低インフレの背景となってきた経済のグローバル化が、地政学リスクやポピュリズム(大衆迎合主義)による保護主義の高まりなどから後退すれば、物価の局面が変化する可能性は否定しきれないと説明。半面、「現時点でグローバル化が逆回転に向かったと言う自信もない」との見方を示した。
 その上で、「今問われているのは物価上昇の原因である供給面のショックが一時的でない可能性をどう考えるかだ。供給力の低下が続くのであれば、金融政策はそれを前提に運営する必要がある」と述べた。
 大規模緩和を修正する日銀の「出口論」をめぐっては、「必要な局面で混乱なく移行できるかが問題の本質だ」と指摘。「端的に言えば、(金利上昇で利払いが増える)財政の持続可能性への備えこそ最大の出口論だ」と強調した。
 日本経済に関しては、高齢化や人口減少など困難な問題に直面していると分析。デフレこそが景気低迷の元凶だとして金融緩和が続いた過去20年近くを振り返り、「大事なのは(経済の実力を示す)潜在成長率の引き上げだが、それを学ぶのに無駄な時間を使ったという思いが拭えない」と語った。

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