食料・エネルギー高で溝 首脳宣言見送りも―来週G20・APECサミット

東京, 11月10日, /AJMEDIA/

 ロシアがウクライナ侵攻を開始して以降、初めて主要先進国と新興国の首脳が集まる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)とアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が来週、東南アジアで開かれる。ロシアの侵攻で拍車が掛かる食料・エネルギー高への対応が主要議題で、会議を活用した首脳外交の展開も焦点となる。いずれの会議でも、ロシアへの対応を巡り参加国の立場には溝があり、首脳宣言は見送られる公算が大きい。
 G20サミットは15~16日、議長国インドネシアのバリ島ヌサドゥアで開かれ、日本からは岸田文雄首相が参加。バイデン米大統領や中国の習近平国家主席も出席するが、ロシアのプーチン大統領は態度を明らかにしていない。APEC首脳会議は18~19日に議長国タイの首都バンコクで予定されている。
 2月の侵攻以降にG20とAPECが開いた閣僚級会合では、日米など西側諸国とロシアの対立が先鋭化し、全会一致が原則の共同声明を一度も出せていない。G20サミットが首脳宣言を採択できなければ、2008年の発足後初の異常事態となる。
 燃料価格急騰による物価高やアフリカ諸国などでの食料危機は、世界経済の深刻な脅威となっている。先進7カ国(G7)などは侵攻が原因と非難しているのに対し、ロシアは西側の経済制裁が原因だとする主張で応酬、議論は平行線が続く。
 対ロ制裁を巡っては、先進国と新興国の溝が埋まらず、今回も進展はなさそうだ。制裁の抜け穴を防ぐため、先進国は新興国に制裁への追随を繰り返し求めてきた。しかし、新型コロナウイルス禍や物価高に苦しむ新興国は、ロシアの報復で自国経済がさらに打撃を受けかねないため制裁とは距離を置いている。
 首脳宣言の採択が困難な中、APECはコロナ禍で打撃を受けた経済の回復と脱炭素社会の実現との両立に向けた文書の公表を目指している。

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