韓国版「ふるさと納税」施行へ 地方活性化、成功するか

東京, 12月30日, /AJMEDIA/

韓国で来年1月1日から、日本の「ふるさと納税」をモデルにした「ふるさと愛寄付制度」が施行される。中央集権が根付く韓国は日本以上に都市と地方の格差が大きく、制度を通じ地方活性化を目指す。各自治体で返礼品のアピールが始まっているが、「日本のような成功は見込めない」と効果を疑問視する声もある。
 幕藩体制の江戸時代を経て地方分権の伝統がある日本とは違い、韓国は王朝による中央集権が続いた。1956年に地方自治体首長選挙が始まったが、独裁体制下で61年から中断し、再開されたのは95年と歴史は浅い。首都圏に人口の半分が集中しており、地方との税収格差も大きい。
 こうした状況を改善するため、日本で制度が導入された2008年ごろから韓国でも議論が始まった。韓国地方税研究院の金※(※火ヘンに共)煥研究委員によると、地域特産品が多い北東部の江原道や南西部の全羅南道などが導入を強く訴えたのに対し、税収減を懸念する大都市が反発。文在寅前大統領が政権公約に掲げたことで、昨年、ようやく法律が成立した。
 寄付をすると、10万ウォン(約1万円)までは全額、それを超える分は16.5%が税額控除される。寄付金の3割を上限に返礼品の提供が可能。自分が住む自治体への寄付は禁止だ。
 地元のブランド米(中西部・忠清南道舒川郡)、伝統工芸の筆(南西部・光州市)など多くの自治体は既に返礼品を選定。特産品が乏しい自治体では、地元で使える商品券なども多い。ユーチューブではミニドラマ「愛と寄付」(江原道)、人気歌手「IU」とのコラボ(南部・済州道)など多彩な動画で宣伝合戦が始まっている。
 ただ、尹錫悦政権が積極的とは言いがたく、肝心の首都圏での認知度は低い。日本では2000円を超える分が全て税額控除されるが、制度への反対論が根強かった韓国は控除に制限があり、節税効果はあまり期待できない。
 各自治体は返礼品の選定に力を入れる一方で、寄付金の使途は「地域発展」といった漠然とした説明が大半。金※煥氏は「日本はその地域でしか手に入らない特産品があるが、国土が狭い韓国は全国で流通している」と述べ、返礼品による寄付効果に懐疑的だ。「返礼品競争より、寄付金をどう人々が共感する事業に使うかをアピールすべきだ」と指摘した。

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