防衛費、規模先行否めず 安定財源確保は不透明

東京, 12月6日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は5日、鈴木俊一財務相と浜田靖一防衛相に対し、2023年度から5年間の防衛費総額として約43兆円の確保を指示した。政府・与党は40兆~43兆円で調整してきたが、大幅増額を求める防衛省側の要望が通った格好。首相は歳出改革とともに税制措置を含む財源確保を求めたが、規模先行は否めず、安定財源を示せるかは不透明だ。
 首相は防衛力の抜本強化に向け、その内容と規模、財源を一体的に検討する方針を再三示してきた。先月28日には、27年度に防衛費と関連経費を国内総生産(GDP)比2%とする「規模」の確保を指示。今回、より具体的な総額を明示した。
 また、「内容」についても、敵の領域内でミサイル基地などをたたく「反撃能力」の保有といった議論が与党内で進んでいる。
 一方、「財源」を巡る議論は置き去りにされている。防衛力強化に関する政府の有識者会議は先月22日、法人税や所得税の増税などを念頭に、「幅広い税目による負担が必要」と明記した報告書を首相に手交。だが、与党内では物価高で家計や企業の負担が増す中での増税論議は避け、当面は国債発行で賄うべきだとの意見が根強い。
 財源については、与党税制調査会に先立ち、大枠を議論する自公のハイレベル協議を開催する。自民党幹部は5日、「(財源は)国債でやる」とくぎを刺した。年末に向け財源を巡る攻防は激しさを増しそうだ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts