防衛財源、法人増税が軸 中小企業へ配慮焦点―与党税調

東京, 12月9日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が8日、防衛費増額の財源確保へ増税の検討を指示したことを受け、自民、公明両党の税制調査会は議論を本格化させる。首相が所得税の検討見送りを表明したことで、財源の大枠は法人税が軸となる。中小企業への配慮を求める声が広がっており、落としどころを探る構図となりそうだ。2023年度税制改正の議論は15日の大綱決定まで残り1週間。決着に向けて調整を急ぐ。
 新たな防衛費は23年度から5年間で約43兆円。財源確保を巡っては、歳出削減や税外収入、剰余金の活用を大前提に不足分を税で賄う。防衛力の抜本的強化に充てる防衛費を安定的に賄うには、27年度以降、増税による1兆円強の税収増が必要になる見通し。政府・与党は物価高や円安など経済情勢が不透明なため、23年度は増税を実施せず、24年度以降の段階的な増税を含めて財源確保策を検討する。
 首相が8日の政府与党政策懇談会で「現下の家計を取り巻く状況に配慮し、所得税負担が増加する措置は行わない」と述べたことで、財源の本命はかねて政府・与党内で有力視されてきた法人税となる公算が大きくなった。ただ与党税調内では、たばこ税、富裕層への課税のほか、相続税、酒税なども取り沙汰されている。
 国の21年度の法人税収は約13.6兆円。税目の本来の税率は変えずに、特例措置を上乗せする「付加税」方式といった形での増税の検討が進みそうだ。
 一方、法人税を軸とした増税の検討に対し、経団連の十倉雅和会長は8日、首相官邸で開いた国内投資拡大のための会合後、記者団に対し、国民全体が利益を受ける安全保障費用の負担は「広く薄く、偏らずというのが基本だ」との見解を強調した。また公明の高木陽介政調会長は7日、「物価高の中で中小に負担のしわ寄せがいかない議論が深まると認識している」とくぎを刺しており、中小企業の負担増に配慮した調整となりそうだ。

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