防衛装備移転見直し、月内協議へ 自公「殺傷力」輸出で隔たり

東京, 4月9日, /AJMEDIA/

自民、公明両党は、防衛装備移転三原則の見直しに向けた実務者協議を、今月下旬にもスタートさせる。ロシアの侵攻が続くウクライナを巡り、欧米各国が戦車やミサイルを供与する中、日本も同様に殺傷能力のある装備品の輸出を認めるかが焦点。大幅緩和を求める自民党に対し、公明党は慎重姿勢を崩していない。
実務者協議は、昨年末に改定された国家安全保障戦略に、三原則の運用指針見直しの方針が明記されたことに伴う。
 現行の運用指針は、輸出対象を原則、安保分野で協力する米国などに限定。目的も(1)救難(2)輸送(3)警戒(4)監視(5)掃海―に絞っている。
 ウクライナ危機に際しては、防弾チョッキやヘルメットを供与するため、急きょ指針を改定。輸出を認める案件に「国際法違反の侵略を受けているウクライナ」との文言を加え、その後はドローン(小型無人機)や防護マスクも供与した。
 ただ、米国やドイツは戦車やミサイル、防空システムなどの供与を決めており、自民党内には日本の支援を「見劣り」と受け止める向きが根強い。党安保調査会長を務める小野寺五典元防衛相は5日の講演で「日本が侵略を受けたときに『防弾チョッキとヘルメットをください』と頼むのか。外交関係はギブ・アンド・テークだ」と要件緩和の必要性を説いた。
 同党は、日本が議長国を務める5月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)までに、一定の結論を得たい考えだ。国防族の一人は「『侵略を受けている国・地域』に限り大幅な緩和を認めるべきだ」と訴える。
 公明党も、防弾チョッキや地雷探知機などの輸出は容認する方針。さらに、英国、イタリアと共同開発する戦闘機も、例外的に輸出を認める案を検討する。山口那津男代表は「ある程度柔軟な構えでルールを作っていく必要がある」と理解を示す。
 一方、殺傷能力のある装備品の輸出を巡っては、反対の世論も多い。山口氏も「兵器を解禁するという一般化した議論にすべきではない」とけん制。実務者協議では、自公間の綱引きが激しくなりそうだ。

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