銀行界、緩和「出口」見極め 正常化を期待、拙速には懸念

東京, 2月17日, /AJMEDIA/

 10年ぶりの日銀総裁交代を控え、銀行界は大規模な金融緩和からの「出口戦略」がどう描かれるのか、固唾をのんで見守っている。長引く低金利で、本業の貸し出しによる金利収入は大幅に縮小。債券市場の「ゆがみ」など緩和の弊害も目立ってきた。ただ、複雑に絡み合った異例の政策から抜け出すに当たっては、金融市場に思わぬ衝撃が及ぶ恐れもある。早期の金利正常化を待ちわびつつ、日銀新体制のかじ取りに神経をとがらせることになる。
 全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は16日の記者会見で、賃金上昇などの条件が整えば「日銀はいずれかの段階で出口戦略を進めることになる」と見通しを語った。今後、異次元の金融緩和で悪化した収益環境が転機を迎え、「利ざやの改善により、収益への貢献度がある程度高まる」と期待する。
 地方銀行でも、政策修正をにらんだ動きが見られる。横浜銀行による買収が決まった神奈川銀行の近藤和明頭取は、「金利が上がってきた時に(統合による)規模のメリットを生かした融資をさらに進められる」と指摘。地銀再編が一段と加速する可能性に言及した。
 もっとも、マイナス金利政策や長短金利操作などを組み合わせた現行政策の修正は、「相当難しい」(大手銀幹部)との見方が多い。金利が一気に跳ね上がって保有債券の価格が急落するリスクがあるほか、住宅ローン金利や企業の資金調達コストの急騰が景気を冷やしかねない。
 特に、マイナス金利の撤廃は市場へのインパクトが大きいとみられ、「マイナス金利は正常化されないと思っている」(別の大手銀幹部)との声も上がる。拙速な政策転換に向かうことがないか、日銀の動向に目を凝らしている。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts